文字通りの圧勝だった。12月13日に東京・有明アリーナで行なわれたボクシングのWBO世界バンタム級王者ポール・バトラー（英国）との４団体統一戦を制したWBAスーパー＆IBF＆WBC世界同級王者の井上尚弥（大橋）だ。

　29歳の“モンスター”は立ち上がりから格の違いを見せつけた。序盤から主導権を握った井上は、ガードを高く構えて、クリーンヒットを避ける守戦を選択したバトラーを攻めに攻めて防戦一方にする。そして、11回に渾身のボディブローを炸裂。ここで「かなり良いのをくらった」という相手がぐらつくと一気呵成にラッシュを展開し、趨勢を定めた。

　ガードの上からも強烈な打撃を当て込み、ダメージを負わせていくハードパンチャーぶりを発揮した井上。ゆえに各国メディアが独自に作成するパウンド・フォー・パウンド（PFP ※全階級で体重差のハンデがない場合、誰が最強であるかを指す称号）の順位も上がるかと思われた――。だが、米紙『USA Today』の管理するボクシング専門サイト『BOXING JUNKIE』は、「トップを揺るがすような何かは起こらなかった」とし、今月10日にダビッド・アバネシヤン（ロシア）に６回KO勝ちを収め、６度目の防衛を果たしたWBOウェルター級王者のテレンス・クロフォードを１位に選出した。

　無論、井上をPFPにおいてトップに推す声は絶えない。バトラーの母国イギリスの大衆紙『The Sun』のチサンガ・マラタ記者は、試合後に自身のツイッターを更新。自身のPFPに対する考えを明らかにしている。
  「ナオヤ・イノウエをPFPの王にしないやつはボクシングを知らない連中だ！」

　いわゆるSワードを使って力強く断言した彼は、同胞戦士バトラーの守戦について「勇敢に闘った」と評したうえで、「だが、モンスターは、まさにモンスターだったんだ」と異名を駆使しながら井上の凄みを強調した。

　バトラー戦の勝利でプロキャリアの戦績を24戦無敗（21KO）とした井上。まさに敵なしの強さを誇る怪物の快進撃は、すでに明言しているスーパーバンタム級でも見られるのか。その挑戦はますます興味深いところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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