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マラソン・駅伝

【箱根駅伝】最もドラマチックな「山上りの5区」を制すのは誰だ!? 4代目「山の神」候補を駅伝ライターが徹底予想!

酒井政人

2022.12.31

2年連続5区にエントリーした若林(青学大2年)。前回の区間記録を更新し、4代目「山の神」になれるか。写真:JMPA

2年連続5区にエントリーした若林(青学大2年)。前回の区間記録を更新し、4代目「山の神」になれるか。写真:JMPA

 箱根駅伝2023の「区間エントリー」が12月29日に行なわれ、各チームの区間配置がおぼろげながら見えてきた。今回は当日変更で6人(1日最大4人)まで交代が可能。箱根駅伝で最もドラマチックな区間である「山上りの5区」は誰が制すのか。区間エントリーの状況から「山の神」候補を探ってみたい。

 標高約40メートルの小田原中継所から国道1号線の最高地点となる標高874メートルまで一気に駆け上がる5区は突如として、ヒーローが現れる場所だ。前回もノーマークだった東海大の1年生が5区を快走したが、吉田響(東海大2年)は今回エントリーメンバーから外れている。

 前回の区間上位者では区間3位の若林宏樹(青学大2年)、同4位の金子伊吹(駒大3年)、同6位の阿部陽樹(中大2年)が5区に登録された。同5位の四釜峻佑(順大4年)は補欠登録だが、当日変更で5区に入る可能性が高い。

 若林は前回、区間歴代6位の1時間10分46秒をマークしており、区間記録(1時間10分25秒)に21秒差まで迫っている。阿部と四釜は1時間11分台後半のタイムだが、両選手ともペース配分がうまくいなかったという。2度目の挑戦となれば、前回の経験を生かすことができる。区間記録を塗り替える可能性は十分にあるだろう。

 5区経験者にはもうひとり面白い選手がいる。11月19日の激坂最速王決定戦・登りの部で2位に入った山本唯翔(城西大3年)だ。

 同レースは前半からぶっ飛ばした影響で、終盤に斎藤将也(城西大1年)に逆転を許したが、前々回は5区を区間6位と好走している。今回は後輩を押しのけて、希望していた5区に登録された。10000メートルベストの28分25秒21は5区候補の選手で最速タイム。区間賞候補のひとりといえそうだ。

 それから初参戦することになりそうな2人の“主力選手”に注目したい。ひとりは前回、花の2区を担った伊地知賢造(國學院大3年)だ。

 國學院大・前田康弘監督は「優勝するには山で稼ぐしかない」と話していたが、4本柱のひとりを5区に投入してきた。今季は出雲6区と全日本8区で区間2位。いずれも2位争いを制して、準優勝のゴールに飛び込んでいる。両駅伝は四釜と同区間で、出雲は37秒、全日本は12秒上回った。ロードの走力でいえば、5区に登録された選手でナンバー1になるだろう。

 そして前田義弘(東洋大4年)が5区にエントリーされた。前回は9区で区間5位。本人は「前回マークした9区の東洋大記録を1分短縮したい」と話していただけに、まさかの区間になった。1年時は後半に遊行寺の坂が待ち構える8区で区間6位。190センチの長身ながら、上り坂も苦にしないタイプだ。

 振り返ると、東洋大・酒井俊幸監督は「5区は武器として考えていきたい」と話していた。鉄紺軍団の主将がまだ一度も手にしていない「区間賞」を山で目指すことになる。
 
 他には前回区間11位の伊藤大志(早大2年)も5区に再挑戦する予定。1年生では野沢悠真(創価大)と吉川響(明大)が5区に登録された。全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得した山川拓馬(駒大1年)も激坂最速王決定戦にエントリーしていた。レースを走ることはなかったが、山川の5区登場もあるかもしれない。

 5区が最長区間(23.2キロ)だった時代に順大・今井正人、東洋大・柏原竜二、青学大・神野大地が「山の神」と呼ばれる大活躍を見せた。このなかで今井は2年時に現在とほぼ同じ区間(函嶺洞門を通行していたため現在より20メートルほど短い)を1時間9分12秒で走破。区間2位以下の選手に3分38秒以上の大差をつけている。

 現在の区間記録は東洋大・宮下隼人(現・コニカミノルタ)が2年時に樹立した1時間10分25秒。今井のタイムと比べて、50秒ほど遅いことになる。シューズの進化を考えると、もっとタイムが出てもおかしくない。「1時間9分台前半」で駆け上がり、「往路V」のゴールに飛び込むことができれば、4代目「山の神」と呼ばれるのではないだろうか。

取材・文●酒井政人

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