師走の日本列島を彩ったのは、ボクシング界が屈指のハードパンチャーである井上尚弥(大橋)だった。昨年12月13日に有明コロシアムで行なわれたWBO同級王者のポール・バトラー(英国)を11回KOで破り、アジア人初の完全統一を果たした。
タイトルマッチすべてをKOで飾ったのは、史上初の快挙だった。ゆえに「イノウエ」の名は世界的に声価を高めた。そうしたなかで、年明け早々に独自のパウンド・フォー・パウンドを掲載した米ボクシング専門メディア『Bad Left Hook』は、29歳の日本人ファイターを1位に選出した。
もっとも、これは複数パネリストたちの投票を統計した結果だ。識者たちの中には、井上を1位に選ばなかった人物も当然いる。現WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)をトップに選出したルイス・ワトソン氏は、日本が誇るモンスターを2位とし、その理由を次のように説明している。
「イノウエがポール・バトラーを相手に何かをやっていたとしても、私が彼を1位に選んでいたかは分からない。ただ、この順位にしたのは井上のせいというよりも、バトラーが守備的な戦いを選んだせいである。日本の“モンスター”は、未来のP4P(パウンド・フォー・パウンド)の王であるセバスチャン・フンドラ(米国)を除けば、私が最も注目しているファイターだ」
たしかにバトラー戦での井上は、カウンターを狙い続けた相手の“守戦”に攻めあぐねた感は否めない。ノーガード戦法による挑発的な行動も取ったが、ラッシュで打ちのめした11回まで決定打を打ち込めなかったのである。
そうした試合展開もあって、「バトラーのせいだ」と強調して井上を2位に選んだワトソン氏は、こうも続けている。
「ウシクの戦績は常に1位にふさわしいものだった。タフだったデビッド・アバネシアンに勝利したテレンス・クロフォードにも上位に上がるだけの理由があったと言える」
バトラー戦後にスーパーバンタム級への転向を明言した井上。同階級はスティーブン・フルトン(米国/WBC、WBO同級王者)やムラドジャン・アフマダリエフ(ウズベキスタン/WBAスーパー、IBF王者)といった難敵がひしめくが、常に「強い奴とやりたい」と語ってきた偉才は己の声価を高め、ワトソン氏の考えを改めさせられるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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タイトルマッチすべてをKOで飾ったのは、史上初の快挙だった。ゆえに「イノウエ」の名は世界的に声価を高めた。そうしたなかで、年明け早々に独自のパウンド・フォー・パウンドを掲載した米ボクシング専門メディア『Bad Left Hook』は、29歳の日本人ファイターを1位に選出した。
もっとも、これは複数パネリストたちの投票を統計した結果だ。識者たちの中には、井上を1位に選ばなかった人物も当然いる。現WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)をトップに選出したルイス・ワトソン氏は、日本が誇るモンスターを2位とし、その理由を次のように説明している。
「イノウエがポール・バトラーを相手に何かをやっていたとしても、私が彼を1位に選んでいたかは分からない。ただ、この順位にしたのは井上のせいというよりも、バトラーが守備的な戦いを選んだせいである。日本の“モンスター”は、未来のP4P(パウンド・フォー・パウンド)の王であるセバスチャン・フンドラ(米国)を除けば、私が最も注目しているファイターだ」
たしかにバトラー戦での井上は、カウンターを狙い続けた相手の“守戦”に攻めあぐねた感は否めない。ノーガード戦法による挑発的な行動も取ったが、ラッシュで打ちのめした11回まで決定打を打ち込めなかったのである。
そうした試合展開もあって、「バトラーのせいだ」と強調して井上を2位に選んだワトソン氏は、こうも続けている。
「ウシクの戦績は常に1位にふさわしいものだった。タフだったデビッド・アバネシアンに勝利したテレンス・クロフォードにも上位に上がるだけの理由があったと言える」
バトラー戦後にスーパーバンタム級への転向を明言した井上。同階級はスティーブン・フルトン(米国/WBC、WBO同級王者)やムラドジャン・アフマダリエフ(ウズベキスタン/WBAスーパー、IBF王者)といった難敵がひしめくが、常に「強い奴とやりたい」と語ってきた偉才は己の声価を高め、ワトソン氏の考えを改めさせられるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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