格闘技・プロレス

井の中の蛙になるべきではない。堀口恭司が大晦日に見せつけた日本の“現在地”「やっぱ技術的にはまだ遅れてる」

THE DIGEST編集部

2023.01.06

扇久保をグラウンドでも、立ち技でも、圧倒した堀口。地力の差を見せつけた32歳の偉才は、RIZIN勢に何を感じたのか。(C) RIZIN FF

「(雰囲気が)暗いっすね~。ガハハハッ」

 昨年12月31日に行なわれた『RIZIN.40』で、扇久保博正(パラエストラ松戸)を破った堀口恭司(アメリカン・トップチーム)は余裕を感じさせる笑みを浮かべながら、記者会見室に入ってきた。
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 彼が高笑いをするのも無理はない。なにせ、試合は圧倒的だった。結果こそ判定だったが、ジャッジ全員が勝利を認めるフルマークであり、内容でも終始上回っていた。

 RIZIN軍とBellator軍による「日米対抗戦」と銘打たれたメインカードの中堅戦。そこで、"米代表"となった堀口の強さは、対峙した扇久保も認めるところだ。

 過去2度に渡って堀口に敗れていた35歳は、三度目の正直で勝利を狙った。

 だが、「対策は立てやすくて、やりやすかった」という堀口に1ラウンド目から3発のカーフキックを効かされた扇久保は「(脚が)壊れたなと思った」と苦戦。なんとか気迫で立ち続けたが、グラウンドの攻防でも背後を取りながら優位に立てず。結局、2度のダウンを奪われて差を広げられた。

 試合後に自身のYouTubeチャンネル「おぎちゃんねる」を更新した扇久保は、この堀口戦の率直な感想を述べている。

「気付いたら下になっていた。本当に完敗です。この4年間で差を縮めるどころか離されて負けたなと。完敗だなという印象です」
 
 2016年1月に渡米して以来、堀口はホルヘ・マスビダル(米国)ら多くのUFC戦士も所属するジム「アメリカントップチーム」で研鑽を積んできた。扇久保が「パンチが来るのか、カーフが来るのかって軌道が正直分からなかった」と明かした洗練された技巧は、まさに格闘技の本場で己を磨いてきた賜物だろう。

 では、堀口が見せつけた"世界"との差はどこにあるのか。常々格闘技について「スポーツとしてやっているか、ケンカとしてやっているのかの考え方の違いだと思う」と説いてきた32歳は、RIZIN勢に5戦全勝という結果を収めた大会後に、こう語っている。

「技術的なものが日本は遅れてるかなと思って、自分は海外に渡って、それ(技術)を会得した。今回の結果を見ても分かるように、やっぱり技術的にはまだ遅れていると思う。(追いつくためには)自分がやっているようにアメリカに行って直に肌で感じる。技術の差だったりとかコーチの差を感じないと、やっぱり人間はわからないので。世界に出たほうがいいんじゃないかなと自分は思います」

 世界に何が待っているのか。それを恐れずに知りに行ったからこそ、堀口はアメリカのメジャー団体『Bellator』でもタイトルを保持した有数のトップランカーとなったわけである。

 対抗戦で5戦全敗と文字通り跡形もなくBellatorに屈したRIZIN勢。彼らがここから世界との差を埋めるべく、スキルアップを図るためには、海外での武者修行も必要になるだろう。いずれにしろ、現状のままでストップすれば、井の中の蛙ではないだろうか。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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