格闘技・プロレス

フルトンは「俺を参考にする」。“亀戦法”で批判を受けたバトラーが語る井上尚弥の攻略法「イライラさせたと確信してる」

THE DIGEST編集部

2023.02.10

昨年12月の対戦では、井上に防戦一方だったバトラー。しかし、この試合の最中に彼はある手ごたえも掴んでいたようだ。写真:AP/アフロ

"モンスター"の凄みを目の当たりにしたからこそ、巷で囁かれる大一番への予想は簡単ではないのかもしれない。

「大一番」とは、今年1月にバンタム級で獲得した4本のベルトを返上するとともに、スーパーバンタム級への階級上げを発表した井上尚弥(大橋)と、その新階級でWBC&WBO世界王者として君臨するスティーブン・フルトン(米国)のそれだ。1月19日(現地)には米放送局『ESPN』が「今年5月に日本で対戦する」とすっぱ抜き、ボクシング界をざわめかせている。

 互いにキャリア無敗を誇る猛者同士によるマッチアップは、すでにさまざまな見方が論じられてきた。そうしたなかで「フルトンは俺を参考にするはずだ」と興味深い持論を展開したのは、昨年12月に行なわれたボクシングの世界バンタム級4団体統一戦で井上に敗れたポール・バトラー(英国)だ。

 井上に対しては、文字通りの完敗だった。序盤から守戦を選択したバトラーは、反撃に転じられずに防戦一方となると、11回にラッシュを浴び、耐え切れずKO負けを喫した。王者らしからぬ闘いぶりは「亀戦法」「気分が悪くなる。勝ちたかったわけではない」(IBF世界フライ級王者のサニー・エドワーズ)と国内外で猛批判を浴びた。
 
 そんな忘れがたき井上戦を経験したバトラーは、英ボクシング専門YouTubeチャンネル『SimBoxx Boxing』のインタビューで「素晴らしい試合になると思う」と予想。そのうえで「フルトンの試合は少ししか見たことがないけど、彼は巧妙で、身体はイノウエよりもデカい。世界王者だし、試合の進め方も一流だ」と断言し、自らが見出そうとした"モンスター攻略法"を明かした。

「イノウエと対戦をするなら、フルトンはおそらく俺の動きや巧妙な立ち回りを参考にするんじゃないかな。間違いなくイノウエが俺にイライラしていたのを見ただろうからね。俺はあの試合で彼をイライラさせることができたと確信している」

 もっとも、井上を軽視しているわけではない。「俺がリングに上がった時に、イノウエの身体で唯一デカいと思ったのは脚だった」とした34歳の英国人戦士は、こう続けた。

「『すげぇな、ふくらはぎは巨大だ』とは思った。でも、それ以外は別に何かがデカい男じゃないんだ。計量や会見で隣に立った時も身体は決して大きくなかった。それなのにどうやってあんな風に次々と相手を倒せるんだって心底驚いたよ」

 井上とフルトンのマッチアップはボクシング界の様相を変えうるビッグマッチとなるのは必至だ。それだけに一部で「合意」の報道が出ている交渉の行方を見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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