ラグビー

多彩なパス&キックの使い手に、驚異のスプリンターも! 日本の国内ラグビーを盛り上げる“ファンタジスタ”5選【リーグワン】

向風見也

2023.02.18

日本の国内ラグビーを魅了するスタンドオフのクウェイド・クーパーと田村。(C) アフロスポーツ、Getty Images

 世界中から有力なラグビー選手が集まる国内リーグワンのレギュラーシーズンは、中盤戦に突入する。

 ハイレベルなラグビーのよさは、様々な凄みを堪能できる点にある。

 骨のきしむようなぶつかり合い、圧巻のスピード、驚きの跳躍と、ファンの心を掴みうる要素には、「ファンタジスタの美技」も挙げられるのではないか。

 防御をきりきり舞いさせる走り、遠くのスペースを射抜くキックやパスは、最近まで声出し禁止だったスタンドを沸かせるファクターだ。

 本稿では、第8節からのスタジアムに楽しみをもたらしそうなファンタジスタたちを紹介する。予測不能な動きを是非現地で。

――◆――◆――
 
●田村優(横浜キヤノンイーグルス・34歳)
スタンドオフ/181センチ・92キロ

 ワールドカップ日本大会時の日本代表。手にしたキャップ(代表戦出場数)は70。司令塔のスタンドオフとしての信条は「ゲームプランを理解して、コミュニケーションを取ってリードして、皆を同じ方向へ行かせる。スペースに速くボールを運ばせる」。この考えを形にするためのパス、キックは精度が際立っており、スペースを大胆にえぐる。相手に球を捕られれば即失点しかねない自陣ゴール前からでも、大外の味方へキックパスをつなげられる度胸とスキルを有する。

 今季は12月18日の第1節では、現役ジャパンのスタンドオフ、李承信を擁するコベルコ神戸スティーラーズと対戦。判定に苦しみながら39―30で勝利するまでの間、防御網の裏へ時にはふわりと、時にはシャープにキックを飛ばし、相手防御に混とん状態を作ったり、首尾よく陣地を奪ったりした。貫録を示した。


●アイザック・ルーカス(リコーブラックラムズ東京・24歳)
スタンドオフ/180センチ・85キロ

 2020年にオーストラリアから来日した金髪のランナーだ。愛称は「ミルキー」。連続攻撃のさなか、フォワード陣が作る陣形の後ろから出現しては防御ラインに仕掛ける。わずかな隙間を見つけてパスダミー、ステップを交えて一気に突破する。その繰り返し。すると防御が極端に走路を塞ごうとするから、フリーの味方へのパスが活きる。

1月29日の第9節では、2季連続国内タイトル4強のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに38―40と迫った。長距離を走り切ってのトライ、グラウンド中盤のスペースを切るパスでチームに活力をもたらした。

「周りが頑張ってくれたおかげで、私の目の前にスペースが空く。私ひとりの成果ではない」

 そう謙遜したうえで、胸を張った。

「目の前の状況を見て、それに対応してプレーするのが得意です」
 
NEXT
PAGE
アメフトのようなワンハンドパスも繰り出すスタンドオフは?