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羽生結弦が『GIFT』に込めた想いとは――。“半生を描いた物語”も「1人になった時に帰れる場所を提供できたら」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2023.02.28

東京ドームで行なわれた羽生の単独アイスショー。巨大なスクリーンに加え、多彩な演出が加わった。(C)2023 GIFT Official

 2月26日、羽生結弦の単独アイスショー『GIFT』が東京ドームで行なわれ、3万5000人の大観衆が詰めかけた。今公演は国内だけでなく、香港、台湾、韓国など複数の映画館でもライブビューイングがされ、主催者発表によると3万人が視聴。動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」でも独占配信されるなど、その人気ぶりは健在だった。

 東京ドームにアイスリンクを張る前代未聞のプロジェクト。海外も熱視線を送った今公演は、プロフィギュアスケーター・羽生結弦が「ドームの会場だからこそ、できた演出」と語るほど、自身の半生と葛藤を描いた構成に、国内トップの演出と音楽をミックスした総合エンターテインメントだった。

 製作総指揮は羽生結弦。演出はテクノポップユニットPerfumeの振り付けやライブ演出をはじめ、様々なPV・CM・舞台などで活躍するMIKIKOさん。音楽監督は松任谷由実のコンサートで音楽監督を務めた武部聡志さん。

 ダンスカンパニーにはELEVENPLAY、東京フィルハーモニー交響楽団にGIFTスペシャルバンドという、各ジャンル一線級のメンバーが顔を揃えた。「本当に名だたるメンバーがいるからこそ作れた総合エンターテインメント」と羽生は振り返っている。
 
 昨年7月19日にプロ転向を表明してから約7カ月。「自分の半生みたいなもの」と語る『プロローグ』でプロスケーターとしての活動をスタートさせた羽生は横浜、八戸での公演で単独公演の手応えを掴むと、自身の紡ぐ物語の新章はファンへの恩返しとなる『贈り物』を意識した。

 28歳は、「物語自体が皆さんへの贈り物になってほしいですし、またその物語に含まれている自分のプログラムたちが、皆さんへのギフトになれば」と語り、2023年は東京ドームという巨大な舞台からスタートした。
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オリンピックを含めた過去の名プログラムを披露