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ラグビー

「家族が見て楽しいラグビーを」リーグワン首位・埼玉WKを牽引する司令塔・山沢拓也。今季の活躍を支える息子との時間

吉田治良

2023.03.05

クボタ戦で25得点を挙げ、勝利に大きく貢献した山沢。家族との時間がメンタルを支えているようだ。(C) Getty Images

クボタ戦で25得点を挙げ、勝利に大きく貢献した山沢。家族との時間がメンタルを支えているようだ。(C) Getty Images

 9戦全勝の埼玉ワイルドナイツと、8勝1分けのクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。無敗のチーム同士が激突したラグビーリーグワン・ディビジョン1第10節(交流戦)の首位攻防戦は、ホームのワイルドナイツが30-15で制し、連覇へ向けて一歩前進した。

【動画】山沢がキックにトライに大活躍! 埼玉WKがクボタに快勝
「ウイングのところで勝負させてもらえる場面も少なかったですし、チームとしても今までは(トライを)取り切れたところで取り切れませんでした」

 開幕から9戦連続トライ(リーグ2位の11トライ)と好調で、日本代表入りも噂されるスピアーズの若手WTB木田晴斗が試合後にそう話したように、結果的に、リーグ最少失点を誇る王者ワイルドナイツの堅守が、ここまでリーグ最多得点と勢いに乗っていたスピアーズの攻撃力を上回った格好だ。

 前半、風上に立ったスピアーズは、自慢のフィジカルパワーで圧力をかけ続けて相手の反則を誘い、SOバーナード・フォーリーの4つのPGで12-10と2点のリードでハーフタイムを迎えたものの、後半にきっちりと立て直したワイルドナイツをあと一歩攻め切れず、結局ノートライに終わっている。

 63分、インゴールに飛び込んだトゥパ・フィナウにしぶとく絡みつき、ぎりぎりでボールをタップさせなかった福井翔太、73分、インターセプトから独走態勢に入りかけたハラトア・ヴァイレアを追走して止めたディラン・ライリー。試合後の会見で坂手淳史キャプテンが、「印象に残るシーン」として挙げた2つのビッグプレーに象徴される鉄壁のディフェンスこそが、ワイルドナイツの最大の勝因だっただろう。

 もっとも、誰もが認めるこの日の主役は、ワイルドナイツの「10番」だった。“世界最高のフッカー”と呼ばれる南アフリカ代表のマルコム・マークス(スピアーズ)をはじめ、国内外のスター選手がずらりと顔をそろえたこの日のゲームで、司令塔・山沢拓也は2トライを含む25得点と、ひと際眩い輝きを放った。

「勝負できるスペースがあれば、ランはいつも狙っています」

 25分、持ち前のスピードと鋭いステップワークを生かした山沢らしいランから最初のトライ。リードを許して迎えた50分にも自らのキックを起点に逆転のトライを奪うと、さらに68分には、「1トライ・1ゴールでも相手は届かない」と、残り時間と点差を冷静に計算し、およそ25メートルの華麗なドロップゴールも決めてみせた。2本のPG、3本のコンバージョンと計5本のキックもすべて成功。まさに“山沢劇場”と呼ぶにふさわしい活躍だった。
 
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