「優勝できる自信は1%しかないと思っていた」
4月4日に行なわれた水泳の日本選手権。7月に開催される世界水泳の代表選考会を兼ねた大会で、池江璃花子が女子100mバタフライ決勝を57秒68で優勝し、派遣標準記録(57秒92)を突破した。2017年以来、6年ぶりに世界水泳の代表切符を手にした22歳はレース後に冒頭の言葉を吐露した。
【PHOTO】池江璃花子が100メートルバタフライで大逆転優勝!6年ぶりの世界選手権内定!
他を圧倒したレースではない。むしろ、ゴール直前までは3番手で表彰台もギリギリの展開だった。それでも池江は死に物狂いで腕を前にかき、ドルフィンキックを力強く蹴り上げ、終盤に猛スパートをかけると、トップで逃げていた相馬あいをとらえた。
5レーンの牧野紘子も迫ってきた大接戦は、僅か0.17秒差でのタッチの差で池江が勝利した。フィニッシュ後、電光掲示板で「1位」を確認すると、池江は歓喜の表情を浮かべ、水面を豪快に叩きガッツポーズが飛び出した。
2019年2月に判明した白血病から奇跡的な復活を遂げて以降、2021年の東京五輪にリレー種目で出場したが、個人種目での代表入りは7月の世界水泳が初めてとなる。
池江は大事な選考会の一発目のレースの心境について、「コース台の前に立った時は『自分は池江璃花子なんだ』という気持ちだった」と語り、「本来なら誰にも負けるわけがないという強い気持ちを持って、レースできたことがすごく良かったのかな」と振り返った。
ただし、6年ぶりに世界のトップスイマーたちと戦う大舞台に向けては、「今の立ち位置では、本当に世界では戦えない」と冷静に自己分析する。「いずれ、ちゃんと56秒台をコンスタントに出せるようになりたい」と今後へ課題を挙げた。
そのうえで、「世界選手権に内定できたということは、自分の中の競技への考え方だったり、モチベーションだったり、世界にチャレンジするという意味では、すごく大きな一歩を踏み出せたんじゃないかなと思う」と手応えを口にした。
スーパー女子高生として日本記録を次々連発し、日本競泳界の希望の星として活躍した少女は生死をさまようほどの病気を経験しながらも今春に大学を無事に卒業。4月から社会人として第一歩を踏み出した。真夏の福岡では、一段と成長した姿を世界に見せてくれる――。そう期待を抱かせてくれた池江璃花子の執念の泳ぎだった。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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4月4日に行なわれた水泳の日本選手権。7月に開催される世界水泳の代表選考会を兼ねた大会で、池江璃花子が女子100mバタフライ決勝を57秒68で優勝し、派遣標準記録(57秒92)を突破した。2017年以来、6年ぶりに世界水泳の代表切符を手にした22歳はレース後に冒頭の言葉を吐露した。
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他を圧倒したレースではない。むしろ、ゴール直前までは3番手で表彰台もギリギリの展開だった。それでも池江は死に物狂いで腕を前にかき、ドルフィンキックを力強く蹴り上げ、終盤に猛スパートをかけると、トップで逃げていた相馬あいをとらえた。
5レーンの牧野紘子も迫ってきた大接戦は、僅か0.17秒差でのタッチの差で池江が勝利した。フィニッシュ後、電光掲示板で「1位」を確認すると、池江は歓喜の表情を浮かべ、水面を豪快に叩きガッツポーズが飛び出した。
2019年2月に判明した白血病から奇跡的な復活を遂げて以降、2021年の東京五輪にリレー種目で出場したが、個人種目での代表入りは7月の世界水泳が初めてとなる。
池江は大事な選考会の一発目のレースの心境について、「コース台の前に立った時は『自分は池江璃花子なんだ』という気持ちだった」と語り、「本来なら誰にも負けるわけがないという強い気持ちを持って、レースできたことがすごく良かったのかな」と振り返った。
ただし、6年ぶりに世界のトップスイマーたちと戦う大舞台に向けては、「今の立ち位置では、本当に世界では戦えない」と冷静に自己分析する。「いずれ、ちゃんと56秒台をコンスタントに出せるようになりたい」と今後へ課題を挙げた。
そのうえで、「世界選手権に内定できたということは、自分の中の競技への考え方だったり、モチベーションだったり、世界にチャレンジするという意味では、すごく大きな一歩を踏み出せたんじゃないかなと思う」と手応えを口にした。
スーパー女子高生として日本記録を次々連発し、日本競泳界の希望の星として活躍した少女は生死をさまようほどの病気を経験しながらも今春に大学を無事に卒業。4月から社会人として第一歩を踏み出した。真夏の福岡では、一段と成長した姿を世界に見せてくれる――。そう期待を抱かせてくれた池江璃花子の執念の泳ぎだった。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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