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ラグビー

「小さいからラグビーなんかできねーよ」南アフリカをW杯優勝に導いた小柄な男が持つ反骨心と日本へのリスペクト

向風見也

2023.04.08

代表チームでもいまだ健在。来年のW杯でも注目の一人だ。(C) Getty Images

代表チームでもいまだ健在。来年のW杯でも注目の一人だ。(C) Getty Images

 チームへは明るさ、やる気のほか、技術も提供する。全体練習後に同じスクラムハーフの選手を集め、パス、キックを指南することもある。

 雨が続いていた某日のことだ。地面へ4つの球を縦に並べ、それを水浸しになりながら拾い上げ、投げる動作を繰り返した。周りもそれに倣った。
 
 湿って掴みづらいボールをさばくには、いつも以上に腰を深く沈め、軸足の力をボールに伝えるようにするのが肝だ。そう助言されたと、参加した天野寿紀が話す。神は細部に宿る。

 イーグルスにはジェシー・クリエルがいる。

 デクラークと同じ南アフリカ代表で、働き場はアウトサイドセンターだ。強烈な突破とタックル、上達する一方の日本語による発信で、クラブの枢軸を担う。

 初来日してNTTドコモレッドハリケーンズ(当時名称)へ在籍した2015年度、イーグルス加入1季目となった2019年以降の経験から、こう心得ている。

「『外国人です』という立場ではなく、『日本人として生活するんだ』という気持ちでいるのが大事」

 新しく仲間になったデクラークへも「文化、マナーに溶け込むことでリスペクトを得られるよ」と伝えたようだ。フィールドの外では、日常生活を手助けした。

 デクラークは同僚に支えられながら、かつ主体的にチームに馴染もうとしているのだ。

「チャレンジすることが好き。だからこそ日本に来て、チャレンジしている」

 リーグ戦のレギュラーシーズンは残り3試合となった。クラブ史上初のプレーオフ進出へ、緊迫した日々が続く。

 新興クラブに重圧がかかるいまこそ、執念と気さくさで世界一となったデクラークの出番だ。

取材・文●向風見也(ラグビージャーナリスト)
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