ドレッドヘア、裾を巻き上げたパンツというファンになじみのスタイル。堀江翔太が、熊谷ラグビー場の通用ゲートをくぐる。
小走りで芝を駆ける。
次第にその速度をゆるめ、ひとり、空を見上げる。
【動画】堀江翔太が通算150試合出場を達成したブラックラムズ東京戦 これから埼玉パナソニックワイルドナイツの先発フッカーとして、4月8日の国内リーグワン1部・第14節に挑む。
この日は旧トップリーグ時代と合わせ、国内リーグ戦での通算試合出場数を150の大台に乗せる。仲間より一足先に入場したのは、そのためだった。
大阪府吹田市出身。吹田ラグビースクール、島本高校、帝京大学を経てニュージーランドへ留学し、当時の三洋電機ワイルドナイツに入ったのは2009年のことだ。
以後、日本代表として2019年までに3度のワールドカップに出て、オーストラリアのレベルズ、日本のサンウルブズに加わり国際リーグのスーパーラグビーでプレーし、かつ、国内リーグでもファンに親しまれる。
希代の戦士の凄みが再認識されるメモリアルマッチが、幕を開けようとしていた。本人の心は、凪いでいた。
「150やからって、(特別に)どうのこうのしたいという感じはなかったです。いつも通り、自分ができることを100パーセントしたいな…目の前の仕事をやり続けよう…と」
確かに後半16分で退くまで、堀江は「いつも通り」だった。
前半6分、自ら先制トライを挙げた。敵陣ゴール前左の接点へ駆け寄り、地上の球を持ち出して目の前のスペースへ仕掛けた。
かねて繰り返していた日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチとのミーティングで、接点の真上が攻めどころだと助言されたのを参考にした。
「そこはいままでやってきていなかったことで、(挑戦すれば)成長する部分」
攻防の仕組み上、接点の周りで突進すると孤立して相手に囲まれやすい。その現実も、堀江は理解していた。
「行けんかったら(前に出られなかったら)ちゃんと立っとかな(自立しないと)。ボディーコントロールをして、ボールを次につなげるようなことをせなあかん…という条件付きでした」
この場面では、自身の右側にいた防御を掌で弾き、その走路に回り込んできた2人目のタックラーは身体を回旋させてかわした。
絶妙な「ボディーコントロール」。中学でバスケットボール部に入って磨いた感性、師事する佐藤義人トレーナーから教わった「上半身の使い方」を合わせた。速度を保ってターンできた。
蓄積した財産を本番のパフォーマンスに昇華するのは、「いつも通り」だった。
「プロとして、向上心を持つのは僕のなかでは当たり前で。僕の身体の使い方にはまだ伸びしろがあるよ、と教えてくれたのが佐藤さん。それを試合のなかで表現したい、という感じですね。あと、僕がいいプレーをすればチームのためになるというのも、ひとつのモチベーションになります」
小走りで芝を駆ける。
次第にその速度をゆるめ、ひとり、空を見上げる。
【動画】堀江翔太が通算150試合出場を達成したブラックラムズ東京戦 これから埼玉パナソニックワイルドナイツの先発フッカーとして、4月8日の国内リーグワン1部・第14節に挑む。
この日は旧トップリーグ時代と合わせ、国内リーグ戦での通算試合出場数を150の大台に乗せる。仲間より一足先に入場したのは、そのためだった。
大阪府吹田市出身。吹田ラグビースクール、島本高校、帝京大学を経てニュージーランドへ留学し、当時の三洋電機ワイルドナイツに入ったのは2009年のことだ。
以後、日本代表として2019年までに3度のワールドカップに出て、オーストラリアのレベルズ、日本のサンウルブズに加わり国際リーグのスーパーラグビーでプレーし、かつ、国内リーグでもファンに親しまれる。
希代の戦士の凄みが再認識されるメモリアルマッチが、幕を開けようとしていた。本人の心は、凪いでいた。
「150やからって、(特別に)どうのこうのしたいという感じはなかったです。いつも通り、自分ができることを100パーセントしたいな…目の前の仕事をやり続けよう…と」
確かに後半16分で退くまで、堀江は「いつも通り」だった。
前半6分、自ら先制トライを挙げた。敵陣ゴール前左の接点へ駆け寄り、地上の球を持ち出して目の前のスペースへ仕掛けた。
かねて繰り返していた日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチとのミーティングで、接点の真上が攻めどころだと助言されたのを参考にした。
「そこはいままでやってきていなかったことで、(挑戦すれば)成長する部分」
攻防の仕組み上、接点の周りで突進すると孤立して相手に囲まれやすい。その現実も、堀江は理解していた。
「行けんかったら(前に出られなかったら)ちゃんと立っとかな(自立しないと)。ボディーコントロールをして、ボールを次につなげるようなことをせなあかん…という条件付きでした」
この場面では、自身の右側にいた防御を掌で弾き、その走路に回り込んできた2人目のタックラーは身体を回旋させてかわした。
絶妙な「ボディーコントロール」。中学でバスケットボール部に入って磨いた感性、師事する佐藤義人トレーナーから教わった「上半身の使い方」を合わせた。速度を保ってターンできた。
蓄積した財産を本番のパフォーマンスに昇華するのは、「いつも通り」だった。
「プロとして、向上心を持つのは僕のなかでは当たり前で。僕の身体の使い方にはまだ伸びしろがあるよ、と教えてくれたのが佐藤さん。それを試合のなかで表現したい、という感じですね。あと、僕がいいプレーをすればチームのためになるというのも、ひとつのモチベーションになります」