格闘技・プロレス

歴史に刻んだ10連勝! “天下無双の火の玉ボーイ“五味隆典が今もファンに愛される理由【PRIDE名戦士列伝】

橋本宗洋

2023.05.08

格闘IQの高い戦いぶりで歴史に名を刻んだ五味。(C) Getty Images

 日本でいえばRIZIN、海外ではUFCやONEなど、MMA(総合格闘技)が世界的な盛り上がりを見せている。一連のムーブメントの"原点"と言えるのが、1990年代から2000年代前半に行なわれ、各国の個性豊かな猛者たちが鎬を削ったPRIDEだろう。

 そんなMMA第一次黄金時代を彩った名選手たちを振り返ってみよう。

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「大晦日に判定はダメだよ、KOじゃなきゃ!」

 格闘技史上に残る名言が生まれたのは、2004年12月31日だった。舞台はPRIDE、言葉の主は五味隆典である。
 
 日本のMMA、その中量級戦線において、おそらく史上最も観客を熱狂させたのは五味だ。PRIDEおよび中量級イベント『PRIDE武士道』で、初参戦から破竹の10連勝を記録。"天下無双の火の玉ボーイ"というキャッチフレーズを持つ彼は、まさに火の玉の如く燃え盛り、最盛期を全力で駆け抜けた。

 五味のPRIDE時代を語るうえで、欠かせないのは、前史にあたる修斗での活躍だ。

 2001年12月に"修斗のカリスマ"と称された佐藤ルミナを破って修斗ウェルター級王者となった五味。だが、当時の彼は爆発的な力を発揮して勝つときもあれば、判定となる接戦も多かった。実際、佐藤戦から2年後に行なわれたヨアキム・ハンセン(ノルウェー)との修斗世界ウェルター級チャンピオンシップには敗戦。あっけなく王座陥落している。

 だが、この年に日本のMMAに大きな変化が起きた。『PRIDE武士道』が始まったのだ。中量級を中心としたこのイベントは数多くの日本人選手にスポットを当てた。五味もそのうちの一人だった。

 五味は発足から1年後の2004年から本格参戦。6戦連続でのKOもしくは一本勝ちを収めると、2005年に開催されたライト級GPでは1回戦で川尻達也との日本人対決に勝利。決勝では、自身の先輩にあたる桜井"マッハ"速人をスタンドパンチの連打で見事にKOしてみせる。この試合で五味はPRIDE10連勝。インパクト抜群の勝利とともに、格闘技の歴史に名を刻んだ。
 
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格闘IQの高さを感じさせる相手を徹底的に研究する戦いぶり