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サウジ遠征で評価落とすも”自分の庭”で能力全開のソングラインに感服。不完全燃焼のナミュールは“不利”がすべて【ヴィクトリアマイル】

三好達彦

2023.05.16

6番ソングライン(右)が16番ソダシ(左)の猛追をアタマ差抑えて2つ目のGⅠ戴冠を手にした。写真:産経新聞社

6番ソングライン(右)が16番ソダシ(左)の猛追をアタマ差抑えて2つ目のGⅠ戴冠を手にした。写真:産経新聞社

 春のマイル女王決定戦、第18回 ヴィクトリアマイル(GⅠ、東京・芝1600m)が5月14日に行なわれ、単勝4番人気のソングライン(牝5歳/美浦・林徹厩舎)が3番人気のソダシ(牝5歳/栗東・須貝尚介厩舎)をアタマ差交わして優勝。昨年の安田記念(GⅠ、東京・芝1600m)に次いで、2つ目のビッグタイトルを手に入れた。

 1番人気のスターズオンアース(牝4歳/美浦・高柳瑞樹厩舎)は追い込み届かず3着に敗れ、2番人気のナミュール(牝4歳/栗東・高野友和厩舎)は道中に受けた不利が影響して7着に終わった。

 GⅠシリーズが始まって以来、週末になると雨に祟られるというサイクルが続いているが、先週末もやはり降雨に悩まされた。前日の深夜から降り始めた雨は、本降りにこそならなかったが、小雨がずっと降り続けた。

 ただ、水はけの良い東京コースだけあって、第9レース(芝1800m)までは「良」発表で行なわれたが、そのあと降りが強くなったため、メインレースは「稍重」に近い良馬場のコンディション。極端に馬場状態が悪化したとまでは言えない状態のなか、刻一刻と発走時間が近づく。
 
 単勝オッズが10倍を切ったのは4頭。昨年の牝馬クラシック二冠馬であるスターズオンアースがオッズ2.5倍の1番人気に推され、悲願のGⅠタイトルを狙うナミュールが4.2倍で2番人気。以下、白毛のアイドルとしてお馴染みのソダシが4.6倍の3番人気、昨年の安田記念を制したソングラインが7.6倍の4番人気となって、ゲートインの時間を迎えた。

 ゲートが開くと目立つほどに出遅れる馬はおらず、各馬が他の出方を見ながら位置取りを探る。そんな流れのなか、大外の16番枠から出たソダシが前目の位置を取ろうと急激にインへと進路をとったため、内にいた数頭が押圧されて不利を受ける。なかでもナミュールは鞍上の横山武史騎手が立ち上がって手綱を引かざるを得ないほどの大きな影響を被った(レース後、ソダシのダミアン・レーン騎手はこの斜行によって過怠金5万円の制裁を受けた)。

 向正面での隊列は、逃げるロータスランド(牝6歳/栗東・辻野泰之厩舎)をソダシがマークし、ルージュスティリア(牝4歳/栗東・藤原英昭厩舎)、サウンドビバーチェ(牝4歳/栗東・高柳大輔厩舎)、ナムラクレア(牝4歳/栗東・長谷川浩大厩舎)、スターズオンアースらがそれを追走。序盤で不利を受けたナミュールは中団の後ろ目まで下がってしまった。
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