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「エイリアン同士の戦い」「ロシア男子の復権は遠い」羽生とチェンの一騎打ちに、露テレビ局が降伏宣言

THE DIGEST編集部

2019.12.08

頂上決戦を繰り広げた羽生(左)とネイサン(右)。 (C) Getty Images

 イタリア・トリノで行なわれたグランプリ(GP)ファイナルはすべての競技を終えた。

 3年ぶり5度目の優勝を目指した羽生結弦(日本)は、ショートプログラム(SP)を2位でスタート。フリーでは首位のネイサン・チェン(米国)との12・95点差を縮めるべく、2年ぶりに組み込んだ4回転ルッツを含む4種5本の4回転ジャンプを着氷させ、フリーで194・00点、総合291・43点とした。

 だが、首位のチェンも、その羽生に対して最後まで警戒心を解くことはなかった。フリーで4種5本の4回転ジャンプに挑み、成功。335・30点と世界最高スコアを更新し、首位を守った。羽生は2位で終え、最多記録となる5度目のGPファイナル制覇を逃している。

 この"頂上決戦"に驚嘆しているのが、女子シングルの表彰台を独占したロシアのテレビ局『MKRU』だ。同局は「男子のロシア勢はメダルを獲得することはできなかった」としながらも、チェンと羽生の対決は「5本の4回転ジャンプは羽生を救わなかった。だが、これはエイリアン同士の対決だ」と脱帽している。
 
「SPが終了した後、ネイサン・チェンはミスを犯したユヅル・ハニュウをはるかにリードしていた。けれど、日本人の反応は迅速だった。彼はすぐに5本の4回転ジャンプを組み込むと明かした。足首のケガの原因となったため、ユヅルが1年以上遠ざけていた、4回転ルッツを含めてだ。

 ユヅルの姿勢は大胆で称賛に値する。けれど、チェンにとって大きな驚きではなかっただろう。彼はユヅルよりもはるかにコンディションがよかった。そして、世界で唯一、6回の4回転ジャンプをこなす力を持つ。それゆえ、恐れられる存在ではあるが、プログラムは非常に複雑なものだった」

 その結果、羽生はネイサンに敗れたが、「ユヅルは5本の4回転ジャンプを実行して、彼の今のすべてを示した」と称えている。

 さらに同局は、「エイリアン同士の戦いだ」と伝え、ロシアのファンは「ケビン・エイモズを含む地球人同士の競争に興味を向けるしかなかった」と自国のスケーターたちの競技を"別物"だと評している。

「彼らは努力していた。男子スケートの復権へ兆しも感じさせた。だが、この舞台でアレクサンダー・サマリンとドミトリー・アリエフが見せたスケーティングでは、ロシア男子のスケートの"復権"を語るのは時期尚早だということが分かった」

 フィギュア大国のロシアのメディアから見ても、異次元の戦いだった羽生とチェンの一騎打ち。彼らは3月の世界選手権で再び顔を合わせることになる。

構成●THE DIGEST編集部

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