マラソン・駅伝

「どうなっているんだろう?」電波が繋がらず不安に駆られた明治大監督。“不安要素”が多いなかでの2位通過に「一安心ですね!」【箱根駅伝予選会】

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2023.10.14

日本人2番手グループを形成する選手たち。明治大のフリー設定の選手たちはここにいた。写真:滝川敏之

 10月14日に開催された『第100回 箱根駅伝予選会』で2位通過を果たした明治大の山本豪監督は、「ホッとしているだけです。一安心ですね。通過しないと始まらないので」と胸を撫で下ろした。

 結果的に余裕の通過となった古豪だが、そこには"不安要素"が多かったようだ。

「9月に体調不良もけっこう出ました。菅平合宿で毎日のようにポコポコポコポコ。治っちゃ誰かが出てきて、また出てきてって感じでした」

 8月にコーチから監督に就任した同氏。8月下旬にはエースの児玉真輝が故障し、1週間走れない日もあった。そんな苦難を乗り越えて勝負の時を迎えていたのだから、結果に対して安堵の表情を浮かべていたのには合点がいく。

 大会前、指揮官は設定タイムを学生自ら決めさせた。「フリーグループ」「63分台グループ」「64分台グループ」の3つを学生に提示すると、児玉、吉川響、綾一輝、杉彩文海、森下翔太の5人がフリーを、そして残り7名が63分台の集団走を選択した。

 これには「実は、64分の組がいるかなと。フリーももうちょっと少ないかなと思っていた」と本音を漏らすほどで、「私が思っている以上に、学生本人の仕上がりは良いのかなという気がしました」と選手たちは自信を持ってスタートラインに立っていたようだ。
 
 そんな監督はレース中うずうずしていたと明かす。

「(国営昭和記念公園内の)電波が悪くて、ほとんど見れていないんですよ。だから『どうなっているんだろう?』っていう。15キロ通過までは情報を得られていて、皆ペースダウンせずに来ていましたから、『大丈夫かな』っていう感じですね」

 そんな山本監督の不安を払いのける走りを学生はしてのけた。だが、同時に本戦に向けて新たな課題も見つかった。

「最後ですね。数キロでペースダウンしているので、それが(1位)大東文化さんとの差になっている。そこをもうし埋めていかなければいけないなと」

 本戦で8位を目標に掲げる明治大。「万全じゃない選手もけっこういました」と言うように、ここからさらにギアを上げていくだろう。

取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)

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