パリ五輪のマラソン日本代表選考レース『マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)』が10月15日、東京・国立競技場発着で開催された。4年前と同様に、今回もこの一発選考レースで波乱が起きた。
前回より倍の61人がスタートラインに立った今大会。だが有力候補に挙げられていた日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)や細谷恭平(黒崎播磨)らが途中棄権のアクシデントに見舞われた。
そんななか130回目のマラソンを迎えた川内優輝(AD損保)が大逃げを仕掛けたこともあり、2位集団が牽制し合う展開となった。集団の力を利用し、最後まで体力を温存することに成功した小山直城(Honda)と赤﨑暁(九電工)が終盤にロングスパートを仕掛け、晴れて五輪切符を手にしたのだ。
東京五輪6位入賞の大迫傑(Nike)は2時間9分11秒で、赤﨑と5秒差の3位に終わった。4年前と同じく次点に甘んじた彼に日本陸連ロードランニングコミッションリーダーを務める瀬古利彦氏は、「また3番か、先輩としては可哀想だなと。詰めが甘かったように感じました」と総括会見でため息を漏らす。
内定した小山と赤﨑を「まだまだ伸びしろがある」と瀬古リーダーは評価していたが、実は「ダークホース的な存在」であったようだ。それもそのはず。彼らは高校や大学では、ほぼ無名。さらに小山が2時間7分40秒、赤﨑が2時間9分1秒と持ちタイムは決して速くない。
一方、世界では高速化が進んでいる。8日に開催された『シカゴマラソン』ではケルビン・キプタム(ケニア)が2時間0分35秒と驚異的な世界記録を樹立している。これに瀬古氏は危機感を抱いており、「後半のハーフ59分47秒なんだよ。そんなタイムで走る日本人にいる?どうしたらなれる?」と記者に問いかけ、「59分47秒ってどれぐらい速いか、走ったことある?滅茶苦茶速いよ、バイクみたいなもんだから」と説明した。
世界で戦うことを念頭に置く同氏は、「(2時間)9分台の記録では世界では戦えない。オリンピックまでにいい記録を出すことに挑戦してもらいたい」と日の丸を背負う彼らに競技力の向上を求めた。
取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)
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世界で戦うことを念頭に置く同氏は、「(2時間)9分台の記録では世界では戦えない。オリンピックまでにいい記録を出すことに挑戦してもらいたい」と日の丸を背負う彼らに競技力の向上を求めた。
取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)
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