マラソン・駅伝

「あの騒動もあって動揺も...」監督解任の“苦境”を乗り越えた立教大、 選手主導で箱根駅伝の「シード権」獲得を目ざす

酒井政人

2023.10.29

監督が直前で解任になるも、2年連続本戦出場を果たした立教大。写真:滝川敏之

 10月14日に行なわれた箱根駅伝予選会。世間の注目を浴びるかたちになったのが立教大だ。指導者として不適切な行動があったという理由で上野裕一郎監督は直前に解任。昨年55年ぶりに箱根路へと導いた指揮官の不在で、チームも好奇の目にさらされた。それでも立大は堂々としたレースを展開する。

 関口絢太(4年)、中山凜斗(4年)、馬場賢人(2年)、國安広人(2年)が日本人の前方集団でレースを進めて、チームは10kmをトップで通過した。15kmは2位、17.4kmは4位に転落するも、最終的には前回と同じ総合6位。2年連続となる本戦出場を決めた。

 関口が1時間02分15秒で個人14位(日本人4番)に食い込むと、馬場、中山、國安も個人50位以内でフィニッシュ。気象条件やレース展開が異なるとはいえ、前回のタイム(10時間46分18秒)を大きく上回る10時間37分06秒で走破した。
 
 チームを牽引した関口は、「あの騒動もあって動揺もしたし、正直、眠れない夜もありました。でも、やるしかない、という気持ちでした」と振り返る。誹謗中傷の声も心配されたが、「今回は立教の応援がかなり多くて、それが力になりました」と温かい声援に感謝していた。

 第100回箱根駅伝は予選会から原田昭夫総監督が代理監督を務めているが、選手たちは指導者に依存することなく、個々が「自立」していた印象だ。

 本戦に向けては、「最終的な責任は私がとりますが、選手選考などは学生主体で行ないます。学生たちは自分たちで納得いくまで話し合って決めてほしい」と原田代理監督は話している。主将・宮沢徹(4年)は、「自分たちで出場選手を決めることは難しいと思いますが、4年生を中心にしっかり話し合って決めていきたい」と選手主導での戦いに意欲を持っている。
 
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