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”全日本の雰囲気に苦しむ”後輩スケーターへ。宇野昌磨が垣間見せた気遣い「僕なりにアドバイスできることがあればしたい」【フィギュア全日本選手権】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2023.12.22

SP首位発進を決めた宇野。追いかけられる立場ながら後輩スケーターへの思いを吐露した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 世界王者が手堅い演技で首位発進を決めた。

 12月21日、長野市・ビッグハットを舞台にフィギュアスケートの全日本選手権が開幕した。大会初日は男子ショートが行なわれ、2年連続6度目の優勝を狙う宇野が104.69点でショートトップに立ち、23日のフリーに弾みを付けた。

 冒頭は鋭く回転した4回転フリップを着氷し、幸先いいスタートを切った。続く4回転のコンビネーションジャンプは後半の3回転が2回転になるも加点は落とさず、最後のトリプルアクセルも鮮やかに降りた。

 曲の終盤にかけては身体全体を大きく使い、プログラムを表現。昨年の全日本王者は会場を完全に支配した。

 宇野は「ジャンプの状態が良くない中でよくまとめたと思う」と振り返り、「プログラム全体でスピードを出し過ぎないようにした。そこは長年のキャリアのおかげ」と落ち着いた表情で語った。

 終わってみれば唯一の100点台。スピンやステップも最高評価のレベル4という結果で、演技構成点も全体トップと盤石の出来だった。
 
 追われる立場の王者は「優勝は狙っていきたい」とも語るが、後輩スケーターへの気遣いも垣間見せる。

 宇野は自分自身を「人とフレンドリーに話しかけるような先輩ではない」と評しながら、「僕の存在とか、僕のひと言が選手の力になれればいい」とも話し、スケート界を今後引っ張っていく後輩たちのため「僕なりに何かアドバイスできることがあれば、その子のために助言できたらしたいですし。皆さんが何を目指して何を緊張しているのか、何かアドバイスできればしたい」と笑顔で語った。

 今月17日に26歳の誕生日を迎えた世界王者は「僕は好きなようにやっている方。その中でも、この位置に立てているのは、何かしらの正解があったからこの立場にいると思う」と持論を展開。

 続けて、「皆さんに少しでも参考になればと思いますし、僕はオリンピックとかすべての試合を経験しましたけど、一番緊張するのは全日本選手権。今大会も特別な緊張感がある中でみんな演技をしていますし、僕はかなり出ているので何か聞かれたらアドバイスしたい」と自身の経験を惜しげもなく若手に伝えたい願望を明かした。

 大舞台で堂々の首位発進を決めた宇野。年下を意識した想いは、日本男子の牽引者として、さらなる責任感をのぞかせた。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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