有言実行できず、悔し涙を流した。
3月3日に「東京マラソン2024」(東京都庁前~東京駅前)が開催され、女子はハーフマラソンと1万メートルの日本記録保持者である新谷仁美(積水化学)が日本人トップとなる2時間21分50秒の6位で走り抜いた。約1か月前に前田穂南(天満屋)が19年ぶりに更新した日本記録を塗り替える強い決意で臨んだが、その願いは届かなかった。
1月28日の大阪国際女子マラソンで日本記録が更新された際にペースメーカーを務めていた新谷は、2日前のプレスカンファレンスで「悔しい以外何もない」と闘志を燃やし、「私の目標は日本記録」と堂々宣言。大きな野望を胸に抱いて本番を迎えたが、思うような走りができず厳しい結果に終わった。
新谷はレース後、記者会見の冒頭で「単純に結果が出なかった。それ以上でも以下でもない」と素直に力不足を認め、「自分でもペースが落ちている感覚はあった」と振り返り、「25、6キロぐらいからキツくなった。このままなら後半、自分がどういうペースで走れるのか頭の中でよぎって、その予想通りのゴールタイムで走ってしまった。ただただ力不足だった」と猛省した。
自ら敗因として挙げたのが、20キロ過ぎまで自分が設定したタイムより遅く刻んでいたラップに気付かなかった点だという。
レース中も時計をチェックしていたベテランは「リズム良く走りたかった」と話すが、「ハーフまではペースメーカーを信用しようと思って。男性だし、日本人だし、何かあれば話せると思っていた」と、レース序盤のプランを告白する。
勝負のカギとなったハーフ過ぎには、指導を仰ぐ横田真人コーチが「(タイムが)遅い!」という声を聞いて「やばいと思った。そこから変なリズムにはまってしまったのが、ひとつの要因。自分で気付けば良かったんですけど、ストレスなく走り切りたいということを優先したあまり起きてしまった。20キロ通過から一気にペースが上がったのは分かったが、焦ってしまい5キロで(スタミナを)使い果たしてしまった」と冷静に分析。ペース配分をうまくコントロールできなかったと悔いた。
会見の終盤では目標である日本記録を打ち破れず、この大会までサポートしてくれた周囲の期待を裏切る結果になってしまい、悔しさで涙を流し声を詰まらせる場面も。「言葉ではなく、目に見えるものを返したかった。自分が返せるものがあるとしたら、日本記録という形で返したい」と言い、今後も可能性があるなら日本記録にチャレンジしたいと誓った。
また、沿道で熱烈な声援を送ってくれたファンには「『新谷、頑張れ!』と応援してくれる言葉が力になったし、最後までこの大会で一番応援されていることが嬉しかった」と謝辞。だからこそ、「パフォーマンスとして何も残せなかったのが非常に残念」と申し訳なく答えると、肩を落として会見場を去った新谷。日本女子トップとはいえ、メンタル的に計り知れないダメージとなった。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
【関連記事】パリ五輪"ラスト1枚"の切符を掴むのは? 女子日本記録誕生や世界最高峰の走りにも期待!【東京マラソン】
3月3日に「東京マラソン2024」(東京都庁前~東京駅前)が開催され、女子はハーフマラソンと1万メートルの日本記録保持者である新谷仁美(積水化学)が日本人トップとなる2時間21分50秒の6位で走り抜いた。約1か月前に前田穂南(天満屋)が19年ぶりに更新した日本記録を塗り替える強い決意で臨んだが、その願いは届かなかった。
1月28日の大阪国際女子マラソンで日本記録が更新された際にペースメーカーを務めていた新谷は、2日前のプレスカンファレンスで「悔しい以外何もない」と闘志を燃やし、「私の目標は日本記録」と堂々宣言。大きな野望を胸に抱いて本番を迎えたが、思うような走りができず厳しい結果に終わった。
新谷はレース後、記者会見の冒頭で「単純に結果が出なかった。それ以上でも以下でもない」と素直に力不足を認め、「自分でもペースが落ちている感覚はあった」と振り返り、「25、6キロぐらいからキツくなった。このままなら後半、自分がどういうペースで走れるのか頭の中でよぎって、その予想通りのゴールタイムで走ってしまった。ただただ力不足だった」と猛省した。
自ら敗因として挙げたのが、20キロ過ぎまで自分が設定したタイムより遅く刻んでいたラップに気付かなかった点だという。
レース中も時計をチェックしていたベテランは「リズム良く走りたかった」と話すが、「ハーフまではペースメーカーを信用しようと思って。男性だし、日本人だし、何かあれば話せると思っていた」と、レース序盤のプランを告白する。
勝負のカギとなったハーフ過ぎには、指導を仰ぐ横田真人コーチが「(タイムが)遅い!」という声を聞いて「やばいと思った。そこから変なリズムにはまってしまったのが、ひとつの要因。自分で気付けば良かったんですけど、ストレスなく走り切りたいということを優先したあまり起きてしまった。20キロ通過から一気にペースが上がったのは分かったが、焦ってしまい5キロで(スタミナを)使い果たしてしまった」と冷静に分析。ペース配分をうまくコントロールできなかったと悔いた。
会見の終盤では目標である日本記録を打ち破れず、この大会までサポートしてくれた周囲の期待を裏切る結果になってしまい、悔しさで涙を流し声を詰まらせる場面も。「言葉ではなく、目に見えるものを返したかった。自分が返せるものがあるとしたら、日本記録という形で返したい」と言い、今後も可能性があるなら日本記録にチャレンジしたいと誓った。
また、沿道で熱烈な声援を送ってくれたファンには「『新谷、頑張れ!』と応援してくれる言葉が力になったし、最後までこの大会で一番応援されていることが嬉しかった」と謝辞。だからこそ、「パフォーマンスとして何も残せなかったのが非常に残念」と申し訳なく答えると、肩を落として会見場を去った新谷。日本女子トップとはいえ、メンタル的に計り知れないダメージとなった。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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