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怒涛の3連勝で悲願成就のテーオーロイヤルは伸びしろ十分! 感慨無量の菱田騎手は“20年前の自分”に胸熱メッセージ「見ておいてくれ!」【天皇賞(春)】

三好達彦

2024.04.30

3連勝で春の天皇賞を制したテーオーロイヤル。鞍上の菱田騎手は悲願のGⅠ初勝利を飾った。写真:産経新聞社

 4月28日、古馬ステイヤーの頂点を決める春の天皇賞(GⅠ、京都・芝3200m)が行なわれ、単勝1番人気に推されたテーオーロイヤル(牡6歳/栗東・岡田稲男厩舎)が圧勝。長距離重賞3連勝で頂点へと駆け上がった。

 2着には後方から鋭い末脚を繰り出したブローザホーン(牡5歳/栗東・吉岡辰弥厩舎)が入り、過去3年連続で2着となっていたディープボンド(牡7歳/栗東・大久保龍志厩舎)は粘って3着に健闘。4年連続で馬券圏内に入る快記録を残した。

 一方、2番人気に推された昨年の菊花賞馬ドゥレッツァ(牡4歳/美浦・尾関知人厩舎)は15着に大敗。牝馬ながら3番人気に推されたサリエラ(牝5歳/美浦・国枝栄厩舎)は12着に沈み、昨年の日本ダービー馬のタスティエーラ(牡4歳/美浦・堀宣行厩)も直線で伸びを欠いて7着に敗れた。
 
 終わってみれば、テーオーロイヤル『一強』の天皇賞(春)だった。ゲートが開くと、20年前にイングランディーレで本レースを逃げ切った横山典弘騎手が手綱を取るマテンロウレオ(牡5歳/栗東・昆貢厩舎)が果敢にレースを引っ張り、ディープボンドが2番手を確保。やや行きたがる素振りを見せたドゥレッツァがその後ろに付けて、直後を鞍上の菱田裕二騎手とピタリと折り合ったテーオーロイヤルが悠々と進んだ。

 マテンロウレオが後続を引き離して単騎逃げとなった通過ラップを見ると、1000mが59秒7、2000mは2分01秒7と、入りがやや速めで中盤が緩むという過去の天皇賞(春)の傾向通りの流れになった。そして2周目の第3コーナーから、以前よりさらにズブさを増したディープボンドが仕掛けて出ると、テーオーロイヤルもそれに連れて進出。騎手の手が激しく動くドゥレッツァやタスティエーラの苦闘をよそに、すんなりと先頭に並びかけるところまで位置を押し上げて直線へと向いた。

 逃げバテたマテンロウレオを交わしてディープボンドが先頭を奪うが、それは一瞬のこと。いよいよラストスパートに入ったテーオーロイヤルがディープボンドを外から交わし、一気に突き放して確勝と思われる差を付けた。後方からブローザホーンが激しく追い込むが、2着に上がるのが精一杯。テーオーロイヤルが2馬身差を付けて、余裕の手応えでGⅠタイトルを手に入れる栄光のゴールを駆け抜けた。
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「20年前の自分に『見ておいてくれ』という気持ちで追った」