プロボクシングの世界スーパーバンタム級４団体統一王者・井上尚弥が８月31日に横浜市内で事前記者会見を開き、東京・有明アリーナで行なわれる元IBF同級王者テレンス・ジョン（TJ）・ドヘニー（アイルランド）との防衛戦（９月３日）に向け、意気込みを語った。

　会見には井上が所属する大橋ジムの大橋秀行会長、父親でトレーナーを務める真吾さんが出席。さらにトップランク社のボブ・アラムCEOも米国から直々に来日するなど、モンスターの統一戦に熱い注目を注いでいる。

　目の前に置かれた黄金に輝く４つのベルトを前にマイクを握った井上は「４団体の防衛戦ができることを誇りに持ち、必ず自分の中で納得する試合をこなしていきたい」「すべてのトレーニングを順調にこなすことができて、すごく良い状態に仕上がっている」など自信のコメントを残し、万全の調整をアピールした。一方、対峙するドヘニーには「体も見るからにデカいですし、当日も僕以上にリカバリーをしてくる」と警戒しながらも、「そんな相手だからこそKOしたい」とKO宣言も飛び出した。

　前回のルイス・ネリ戦では初回にプロ初ダウンを奪われた。序盤の入り方については「それに対しての対策はないですけど」と前置きしながら、「あの１ラウンドがあったからこそ、自分はまた強くなった」とプラスに捉えている。加えて、ボクシングに対する向き合い方も変わったといい、「ボクシングの魅力はKOだけでなく、判定決着でも伝えられる。KOでも判定でも、どちらも準備している」とし、判定決着も見据えて勝利だけを狙う。
  　会見後には、大橋会長が防衛成功後の壮大なプランを明かした。同会長は「まだ全然決まってない」と否定したうえで、「次はサム・グッドマン（オーストラリア）の可能性もある。来年はラスベガスという線もある」と、12月に国内での試合を経て米ラスベガスでのタイトルマッチを行なう可能性を示唆した。

　過去にラスベガスで井上は２度試合を行なっており、いずれもKO勝ちを収めている。同会長は「前回（コロナ禍により無観客）とは全然違う。そういう前人未到のことをやっていくのが井上の役目だと思うので。そういった話を慎重に選んでサポートしていきたい」と語り、日本人王者が大舞台でメインを務める夢のプランを明かした。

　否が応でも期待するボクシングの本場への再上陸。そこに向け、まずはドヘニー戦で絶対王者たる実力を証明してみせる。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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