格闘技・プロレス

「仕上がりバッチリ」井上尚弥が9.3防衛戦の前日計量を一発パス。将来の”フェザー級転向”を見据え、さらなる進化を誓う「現状維持では止まってしまう」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.09.02

井上は前日計量をクリア。鋼の肉体美を披露し、万全の態勢で防衛戦に臨む。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥と元IBF同級王者テレンス・ジョン(TJ)・ドヘニー(アイルランド)が9月2日、横浜市内で前日計量を行なった。井上は55.3キロ、ドヘニーは55.1キロで一発クリア。検診も問題なく、両者は明日の4団体王座防衛戦に臨む。

 緊張感漂う会場で、絶対王者は万全のコンディションをアピールした。先に計量台に乗った井上は筋骨隆々の美しい肉体を披露して一発パス。一方のドヘニーはげっそりとした様子だったが、こちらも200グラムのアンダーで問題なくクリアした。

 記念撮影後、恒例のフェイスオフでは約18秒間、両者は睨み合った。終了すると、ドヘニーの方から握手を交わし、井上も笑顔を浮かべながら互いの健闘を誓い合い、最後は和やかな雰囲気で計量は終わった。

 計量後、井上は「仕上がりはバッチリ」と豪語。現階級で4戦目を迎え、「体も仕上げ方もスーパーバンタム級のところに来ている。自分の感覚ですけど、筋肉量の作り方だったり、プラスしてスピードも落とさないところを意識してきた」と明かし、フィジカル面の充実を強調した。

 さらに、無敗の王者は"その先の階級"も意識していることを示唆する。「数年後にフェザー級を見据えるのであれば、まだまだやらないといけないことはある。そこに向き合っていかないと成長も見られないと思うので。今までやってきたことをそのままやっていくのではなくて、何か新しいことを取り入れながら、手探りで進めていかないと現状維持では止まってしまう」と言い、自分の中で考えながら何かを変えるべきだと持論を展開した。
 
 前回の東京ドーム決戦から4か月。さらなる進化が期待される井上は「プレッシャーはいつもと変わらず。自分は試合をやる楽しみ、喜びっていうものが一番だと思っている。場所はどこであろうが、リングに上がるところに自分自身も期待しているし、楽しみにしている」と引き締まった表情で話し、常に先を見据えている。

「技術的なものはすぐに変わるものではないと思いますけど、少しずつ積み重ねた減量方法だったり、体の作り方はいずれフィジカル強化として表れてくると思うので。それが今回の試合に限らず、今後一つひとつ試合をしていくうえで少しずつ蓄積されて形となっていければいい」

 大舞台でのビッグマッチを経て、もう一段階進化したモンスターの姿がまもなくベールを脱ぐ。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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