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格闘技・プロレス

対日本人7戦全勝でトラブルメーカーの異名も、実力差は明白…井上尚弥が代役挑戦者に格の違いを見せつけるか?

橋本宗洋

2025.01.24

紆余曲折を経て3度目の防衛戦に挑む井上。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

紆余曲折を経て3度目の防衛戦に挑む井上。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 紆余曲折というのか二転三転というのか。ボクシング主要4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥の2025年初戦は、1月24日に行なわれる。

【画像】井上尚弥ら全選手が計量パス!有明でのタイトルマッチに向けた前日計量の様子をお届け!
 いや、もともとは2024年最終戦のはずだった。12月24日に対戦予定だったのはIBFとWBOで世界1位にランクされるサム・グッドマンだ。
 
 ところが、試合の10日前になってグッドマンが負傷。スパーリング中に左目上をカットしてしまう。試合は1月24日に延期となった。

 だが、グッドマンは再び同じ箇所をカット。さすがに2度の延期はできず、井上は24日の興行で代替選手のキム・イェジュンと対戦することになった。キムはグッドマンに万が一のことがあった時に備え、あらかじめリザーブ選手としてスタンバイしていた。

 対日本人の戦績は7戦全勝、つまり日本人キラーとも言えるキャリアを積んできたキム。かつて何度も行なわれ、ファンを興奮させたボクシング版の日韓戦ということになる。

 キムのキャッチフレーズは“パッキャウェザー”だという。攻撃はマニー・パッキャオのスタイルでド迫力、ディフェンスはフロイド・メイウェザーばりに鉄壁だというわけだ。とはいえキムはWBO11位。井上との実力差は明白で、勝つか負けるかの“勝負論”は薄いと言わざるを得ない。

 そもそも4団体統一王者の井上は誰と比較しても飛び抜けた存在。階級をフェザー級に上げ、フィジカル面で不利になってようやく負ける可能性が出てくると見る者もいるほとだ。

 では今回、代打のチャレンジャーを迎えた試合で我々は何を見るべきか。一つは、キムの奮闘だ。降ってわいたチャンスに、どこまで頑張ることができるか。いわば映画の『ロッキー』のような存在でもある。

 昨年、井上はルイス・ネリ戦でダウンを喫した。誰もが予想しなかった場面だ。あらためて、勝負は何があるか分からないと肝に銘じて試合を見たい。キムのもう一つのキャッチフレーズは“トラブルメーカー”。対戦相手をトラブルに陥れるという意味だ。

 そして最大のポイントは、井上の圧倒的な強さと“勝負師”ぶりだ。今回の試合、井上は12月の時点で代替選手と闘うこともできたはず。試合が1か月延びれば、調整・減量のやり直しの部分もある。それでも井上陣営は研究・対策を重ねてきたグッドマンとの対戦を望んだ。井上はむしろ「準備期間が増えた」と捉えていたそうだ。

 試合2日前の記者会見では「このスケジュールで時間をかけて体を仕上げたのは、凄くプラスでした」と語っている。スケジュールが狂ったことは否定しなかったが、それもまたプラスにしたというわけだ。

 また代役のキムにもスクランブル出場に対して「最大限のリスペクトとしてバッチリ仕上げた」と井上。想定外の出来事をすべて前向きに受け止め、むしろいつも以上の仕上がりで試合に臨むことができそうだ。

 昨年は東京ドーム進出を果たし、今年はラスベガス、さらにサウジアラビアでの試合プランもある。フェザー級転向が気になるファンも多そうだが、今年はスーパーバンタム級での世界進出が大きなテーマになってくる。

 その勢いをつけるためにも、今回の試合ではインパクトのある勝ち方が求められる。ただそんな状況でも井上尚弥は井上尚弥。いつものように平常心で、世界最高峰の実力を発揮してみせるはずだ。

文●橋本宗洋

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