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ラグビー

「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」元日本代表・大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦<シックス・ネーションズ>の見どころ

THE DIGEST編集部

2025.02.08

昨年の6カ国対抗ラグビーはアイルランドが制した。(C) Getty Images

昨年の6カ国対抗ラグビーはアイルランドが制した。(C) Getty Images

 前身大会の幕開けから140年以上もの歴史を積み重ねてきたラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」が、今年も待ちに待った開幕を迎えた。日本時間2月1日(土)から2日(日)にかけて行なわれた第1節の3試合では、6カ国による大会になった2000年以降では初の3連覇を目指す王者アイルランドや対抗馬のフランス、スコットランドが白星発進に成功した。しかし、WOWOW解説でおなじみのラグビー元日本代表の大西将太郎さんは敗れたチームの中にもポジティブな材料があると指摘する。

 今回は第1節の結果を受けて、大西さんに2月8日(土)、9日(日)の第2節の見どころ、そしてこれからの展望や注目カードなどについて話をうかがった。

――◆――◆――

──今回のシックス・ネーションズ、第1節はフランスが43-0でウェールズに、スコットランドが31-19でイタリアに、アイルランドが27-22でイングランドにそれぞれ勝利しました。

「アイルランドとスコットランドは開幕戦に強いというデータがあり、特にアイルランドは2000年(シックス・ネーションズ初年)からの開幕戦で26戦19勝、勝率73%をマークしています。結果的に3試合ともランキング上位のチームが勝ちましたが、内容としてもどのチームも昨年以上に一体感、成熟の度合いが増してレベルが高くなり、試合内容も非常に濃いと感じました」

──オープニングマッチのフランスvsウェールズは一方的な試合になりましたね。

「敗れたウェールズは何かを変えるというよりも全てを変えなければいけない、というくらいどん底の状態です。タレントや絶対的なリーダーがいないこと、ウェールズ協会の財政難といった事情も関係しています。昨季リーグワンでクボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属していたベテランFB(フルバック)リアム・ウィリアムズが再び代表で活躍中ですが、それは若手が台頭していないことの表れとも言えます。ウェールズは7月に来日して日本代表と2試合を行ないますので、果たして今大会でどういうラグビーをするのか日本のファンにもぜひ見ていただきたいです」

──フランスは対照的に圧勝で最高の白星発進となりました。

「中心選手、ベテラン、リーダーと、至るところにタレントが揃っているフランスは両WTB(ウイング。第1節はルイ・ビエール=ビアレとテオ・アティソグベ)が特にのびのびとプレーしていました。フィジカルの強さやバックスの展開力はフランスリーグ『TOP14』のレベルの高さの賜物で、見ていて非常に面白いラグビーをしていましたね。キャプテンのSH(スクラムハーフ)アントワーヌ・デュポンはやはり世界最高の9番だと感じさせる活躍を見せています。一戦一戦しっかりと試合していき、その先にラグビーワールドカップ初優勝というターゲットを見据えているはずです。その思いが今後チームにどう伝わっていくか、注目しています」

──続いては大西さんが解説されたスコットランドvsイタリアについてですが、スコットランドがCTB(センター)ヒュー・ジョーンズのハットトリックで好スタートを切りました。

「シックス・ネーションズで過去3回ハットトリックを達成した選手はいずれもスコットランドの選手で、今回のCTBヒュー・ジョーンズ、昨年イングランド戦のWTBドゥアン・ファン・デル・メルヴァ、一昨年イタリア戦のSO(スタンドオフ。現在はFB)ブレア・キングホーンの3選手です。ハットトリックそのもの以上に、ボールを展開して外の選手が点を取るスタイルに変わってきているところにスコットランドのスタイルの変化が表れています。第1節ではWTBダーシー・グラハムもトライの一つ手前の場面でしっかりと仕事していました。今後もそういった外側の選手たちのトライが増えれば、どんな相手に対してもいいラグビーができるでしょう」

──近年昇り調子のイタリアは敗れましたが、途中までは同点と健闘しました。

「イタリアのフィジカルの強さはシックス・ネーションズのどの国にも引けを取りません。それがあらためて証明された試合でしたが、50分や60分ではなく、80分間最後までいかにして戦うか、というビジョンが少し足りなかったと思います。ただ、対戦する国にとっては本当に嫌な相手になることは間違いありません。試合前に注目選手に挙げたCTBトンマーゾ・メノンチェッロは体のキレ、強さ、スピードを要所で見せていましたが、昨年の大会最優秀選手ということで“彼を止めなければ”と以前よりも警戒されていました。その分、横にいるCTBフアン・イグナシオ・ブレックスへのマークが甘くなることもありました。この両CTBをはじめとするイタリアのいい選手たちを日本のファンのみなさんにも知っていただけるとうれしいですね」
 
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