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ラグビー

【リーグワン】初のプレーオフで注目株の静岡ブルーレヴズ、W杯8強を経験した元代表コーチが語るFW陣の充実

向風見也

2025.05.16

充実度の高いFW陣を軸に今季のリーグワンに旋風を巻き起こす静岡ブルーレヴズ。プレーオフのパフォーマンスも注目だ。写真提供:JRLO

充実度の高いFW陣を軸に今季のリーグワンに旋風を巻き起こす静岡ブルーレヴズ。プレーオフのパフォーマンスも注目だ。写真提供:JRLO

 鶏が先か、卵が先かは知らない。とにかく、「いい方向に進んでいる」のは確かだ。

 ラグビー日本代表が2019年のワールドカップ日本大会で初めて8強入りした際にアシスタントコーチだった長谷川慎は、現在、静岡ブルーレヴズの指導陣で2シーズン目を過ごしている。

【動画】静岡BRが前回覇者のBL東京を撃破!

 5月17日より6傑からなるプレーオフへ出る。国内コンペティションがリーグワンという名になってから初の快挙である。

 前身のヤマハ発動機ジュビロでフォワードコーチだった頃に日本選手権を制したことのある長谷川は、現代のブルーレヴズに十分な組織力を見る。

 京都出身の53歳がスマートに説く。

「コーチングスタッフ同士の風通しがいい。何でも話し合える。勝っているからそうなっているのか、そうなったから成績がよくなっているのか、どちらが先かはわからへん。ただ、いい方向に進んでいる。少なくとも、俺がいい成績を収められた時はそういう(団結した)スタッフの中で仕事ができたから…」

 一昨年、長谷川と同時期に就任したのは藤井雄一郎監督。2人は同じ体制の日本代表に携わっていた。

 藤井が挑戦的なアタックスタイルを導入する傍ら、長谷川や、長谷川がかつて選手として指導した田村義和アシスタントコーチが伝統のスクラムをチェックする。温故知新。

 ブルーレヴズのスクラムは、列島のスクラム職人たちの試行錯誤の足跡でもある。

 長谷川が過去のフランス留学などで原型を作り、2011年よりジュビロ、16年より日本代表および関連のサンウルブズで当時のプレーヤーたちと磨き上げてきた。

 コンセプトは「コアの短い日本人に合ったスクラム」。

 両軍のフォワード8人が組み合うより際は、向こうより先んじて自軍の型へ固まる。互いの掴む位置、芝をかむスパイクのポイント、膝の角度にもこだわる。

 仲間同士が迷いなく繋がり合い、レフリーに合図される際は間合いのもとぶつかる。「相手を窮屈」にさせられるから、メンバーが小兵揃いの折も大男たちをも押せる。

 藤井は「スクラムが強いと、こんなに楽だったとは」。かつて、ややスクラムの不得手な宗像サニックスブルースを率いたことがあった。スクラムを苦にせずアタックのアイデアを編める現況は、きっと心地よいだろう。
 
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