競馬

大外からの強襲一閃! アスコリピチェーノ戴冠の裏でスリリングな戦いにした“立役者“【ヴィクトリアマイル】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.05.21

17番アスコリピチェーノが2歳以来となるGⅠ制覇を飾った。写真:産経新聞社

 5月18日、マイル女王決定戦と位置づけられるヴィクトリアマイル(GⅠ、東京・芝1600m)が行なわれ、単勝1番人気に推されたアスコリピチェーノ(牝4歳/美浦・黒岩陽一厩舎)が大外一気の追い込みで快勝。4着までがタイム差なしの激戦を制した。
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 クビ差の2着には4番人気のクイーンズウォーク(牝4歳/栗東・中内田充正厩舎)が、さらにハナ差の3着には7番人気のシランケド(牝5歳/美浦・牧浦充徳厩舎)がそれぞれ入着。逆に、2番人気のボンドガール(牝4歳/美浦・手塚貴久厩舎)は後方のまま16着に大敗し、3番人気のステレンボッシュ(牝4歳/美浦・国枝栄厩舎)は中団のまま8着に終わった。

 前週のNHKマイルカップは、土曜日の降雨で稍重に悪化した馬場が、日曜日の晴天でからりと渇き、レースはパンパンの良馬場で行なわれた。一方、今週も17日の午後に強い雨が降って馬場状態は稍重になったところまでは一緒だが、18日は一日中曇天だったこともあり、表記こそ良馬場となっていたものの、かなり時計がかかる状態となっており、インコースより馬場の外目が伸びるトラックバイアスが生じていた。そのため、スピードだけではなくスタミナも要求されるコンディションとなり、機嫌よく飛ばした逃げ・先行勢が総崩れに。一方、後方から外を通って脚を伸ばした差し・追い込みが上位を占める結果となった。
 
 展開は、大外の18番枠から飛び出したアリスヴェリテ(牝5歳/栗東・中竹和也厩舎)が後続を離して逃げる形となり、2番手を上り馬のアドマイヤマツリ(牝4歳/美浦・宮田敬介厩舎)が2番手。5番人気のアルジーヌ(牝5歳/栗東・中内田充正厩舎)とステレンボッシュは中団の好位置を取り、クイーンズウォーク、ボンドガール、シランケド、そしてアスコリピチェーノは後方からレースを進めた。

 アリスヴェリテが刻んだ1000mの通過ラップは56秒8。短距離並みの超ハイペースであり、数馬身後方を進んだアドマイヤマツリら先団にしても、馬場状態を考えればハイペースだと言えた。

 迎えた直線。アリスヴェリテが粘り、それをアドマイヤマツリが追うが、中団から進んだアルジーヌらがそれに迫る。そしてさらに外からは後方待機で脚を矯めていたクイーンズウォーク、アスコリピチェーノが一気に襲い掛かり、さらには内目からシランケドが差し込んでくる。ゴール前は息詰まる追い比べとなり、アスコリピチェーノがクビ差でクイーンズウォークに先着。一昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)以来となる、2つ目のビッグタイトルを獲得した。走破タイムは1分32秒1。
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