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ラグビー

【ラグビー】満身創痍の36歳、リーチ マイケルはなぜそこまで戦えるのか? 貫いた日本代表への誇り「トップのトップで戦いたい」

向風見也

2025.07.10

伝統国からの勝利を挙げた日本を力強く牽引。リーチの存在感は絶大だった。(C) Getty Images

伝統国からの勝利を挙げた日本を力強く牽引。リーチの存在感は絶大だった。(C) Getty Images

 スタンドからカウントダウンが響く。

「5! 4! 3! 2! 1!」

 ホーンが鳴る。そのままプレーが途切れれば、勝ちを掴める。

【動画】日本が伝統国から2019年以来の白星! ウェールズ戦ハイライト

 ラグビー日本代表はそれまで約2分間、守っていた球を、タッチラインの外へ蹴り出す。ノーサイドが告げられるや、会場のミクニワールドスタジアムに喝采が沸く。
 
 世界ランクで1つ上回っていたウェールズ代表を24―19で下したその瞬間、36歳のリーダーは芝に仰向けになる。両方のこぶしを空に突き上げる。

 リーチ マイケル。現地の最高気温が34度と蒸し暑かった7月5日、伝統と実績のある「ハイパフォーマンスユニオン」勢からは約6年ぶりとなる白星をもぎ取った。

「勝因は準備。暑さ対策、どうやって勝つかの細かいミーティング…。チームにとっては、この勝利は大きい」

 タックルで魅した。鋭い出足で走者を押し戻した。

 ジャパンは昨秋、リーチ不在のなか強豪国との試合で大量失点を重ねていた。防御担当コーチはそのまま退任。今回のキャンペーンでは、後任候補でオブザーバーのギャリー・ゴールド氏がシステムを整えた。

 その流れで規範を示したのが、身長189センチ・体重113キロの6番だった。たくさんのピンチをしのいで僅差で勝つ展開は、この人の献身によってもたらされたと言える。

 もともと攻守両面で存在感がある人が、己の役割をあえて絞っている。

「タックルしかできない。ディフェンスのスタンダードをどんどん磨きながらやっていきたいです」

 4度出たワールドカップのうち、歴史的3勝のイングランド大会、初めて8強入りの日本大会で主将を務めたのを踏まえて言う。

「日本代表は、ディフェンスが強い時に(よい)アタックに繋がる」

 船頭の務めも果たした。

 約9年ぶりに復職して2季目のエディー・ジョーンズヘッドコーチには、昨春の活動時に続けて要職に抜擢されていた。

 同カード2連戦の初戦にあたる北九州のゲームでは、プレーの合間によくレフリーと話した。

 自陣深い位置でスクラムを迎えた前半18分頃。それまでのスクラムで、相手の最前列左の選手が塊の外側から回り込んで組もうとしてくる傾向を看破。笛を持つダミアン・シュナイダー氏へ「ステップアウトしてくるのを、見てください」と耳打ちした。

 ルールのグレーゾーンを突こうとする先方の目論見をけん制し、自分たちの優位性を生んだのだ。日本代表の好プッシュの裏側で、フィジーとニュージーランドのルーツを持つ日本人選手が繊細な交渉をしていた。
 
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