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ラグビー

エディーが叫び、選手が応えた――灼熱の死闘で掴んだ伝統国ウェールズからの白星 「きついのが日本代表らしい。楽にやっても勝てない」

向風見也

2025.07.07

2019年以来のラグビー伝統国からの勝利を掴んだ日本代表。(C) Getty Images

2019年以来のラグビー伝統国からの勝利を掴んだ日本代表。(C) Getty Images

 メインスタンド上段の記者席の背後から、怒鳴っているようなかん高い声が響いた。

 エディー・ジョーンズが叫んでいた。

【動画】日本が伝統国から2019年以来の白星! ウェールズ戦ハイライト
 7月5日の福岡・ミクニワールドスタジアム北九州では、ラグビー日本代表が対ウェールズ代表2連戦の初陣を迎えていた。

 最高気温34度。海沿いにあるスタジアムが日照と熱波に包まれるなか、ジョーンズはひたすらにがなる。
 
 約9年ぶりに指揮官に復帰した昨季は、招集辞退者が相次ぐなか若返りを断行。テストマッチ(代表戦)4勝7敗と負け越していた。今度のキャンペーンでは、結果責任を問われかねない立場にあった。

 それ以前に、勝利への執念を真骨頂とする。

 今度も選手が力を出せるよう、自治体へのサイン寄贈などのタスクは試合3日前までに済ませるよう指示していたと伝わる。

 ジャージィを託された戦士は、耐えに耐えた。何せボスの選考方針は、「やる気のある選手を選びたい。(課されるタスクが)きついのなら、やってもらわなくていい。守りの連携ミスがあった前半は7-19とビハインドも、それ以上に自陣ゴール前でのピンチを凌いでいた。

 34分頃、フィールドの中盤よりやや深い位置で防御ラインを敷く。適宜、飛び出して刺さる。

 ロックのワーナー・ディアンズが走者を羽交い絞めにし、フランカーのジャック・コーネルセンが強烈にぶちかます。徐々に陣地を挽回し、苦し紛れのドロップゴールを蹴らせる。失敗に持ち込む。

 前年の防御コーチが退いたいま、元アメリカ代表監督のギャリー・ゴールド氏がオブザーバー役として組織体系を整えている。こちらも献身のフランカー、リーチ マイケル主将は訴える。

「自分たちのアイデンティティを作る。とにかく前に出て、タックルする」

 時間が経つと、向こうの動きが滞ってきた。

 世界ランクで日本代表より1つ上回る12位のウェールズ代表は、戦前までテストマッチ17連敗中とあり、失地回復を目指していた。来日前に特別な装置のある空間で暑熱対策を施した。

 それでも来日後は、想定外の体感温度に難儀した。きっとこの日も然りだった。

 59分にはペナルティーで自陣に封じ込まれ、14―19と追撃を許した。直後のキックオフで敵陣へ入るつもりが、ボールの位置の近くで勢い余ってオフサイドを取られる。再び陣地を挽回されると、もうひとつ反則を犯した。

 おかげで日本代表は、17―19とにじり寄った。60分のことだ。
 
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