ラグビー

圧巻チャージ→歓喜を呼ぶ連続攻撃! 日本代表新時代の主役候補ディアンズが魅せた覚醒プレーの舞台裏【ラグビー】

向風見也

2025.07.13

後半に追撃のトライを挙げたディアンズ。日本代表でも不可欠な存在となってきた。(C) Getty Images

 自らの大仕事を飄々と振り返る。

 ワーナー・ディアンズは7月12日、屋根を締め切って蒸し暑い兵庫・ノエビアスタジアム神戸でラグビー日本代表の5番をつけた。

【動画】伝統国から初の連勝なるか... 白熱のウェールズ戦ハイライト
 10—24とビハインドの後半19分、密集戦から追撃のトライを決めた。ビデオ判定を経て、歓喜を呼んだ。
 

 何より愛好家をうならせたのは、そのきっかけとなるファインプレーだった。

 自陣10メートル線付近右で、対するスクラムハーフのダン・エドワーズが放つキックへ手をかける。チャージだ。身長201センチ、体重117キロのサイズと読みの鋭さを活かした。

 歓声を背に、向こうへ転がった球を一目散で追った。敵陣中盤の右端あたりで、その宝物にどうにか足をかけた。そいつを味方センターのディラン・ライリーが拾い上げたことで、ディアンズのスコアへと向かう連続攻撃が始まったのだ。

 件のきらめく瞬間について、金髪の長身戦士は「自分の役割、仕事が、(敵の足元へ)プレッシャーをかけること。毎回、毎回、行けるようにして、(当該の場面では)それがちょうど、当たった」。優れた運動神経はデフォルトと捉えているような。

「もうちょっと(足が)速かったら、(駆け上がってから)キックできたかな、と思うんですけど」

 試合は22-31で落とした。5日にミクニワールドスタジアム北九州で24―19と下した伝統国の連敗を、18で止めてしまった。

 前半は整備されたフェーズアタックによって再構築中の防御を乱され、10—21とリードを与えた。

 初戦でうまくいったモール(立ったボール保持者を軸にした塊)への防御が今度は攻略され、「うまかった。多分、相手に修正された」と脱帽した。

 さらに、一時は22―24とにじり寄りながら、要所における接点で好スティールを許したのも痛かった。

「ジャッカル(スティール)のうまい選手が何人かいて。チョップ(低い)タックルをされて、その内側から(スティールを狙う選手が)プレッシャーを。(来ると)分かっていたけど…大変でした」
 
NEXT
PAGE
コロナ禍での経験からマインドセットは「自分がコントロールできることだけに集中」