イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、「ハミルトンはもう終わったのか？」と題した記事で、その判断を自国の元ドライバーや関係者に求めている。

　F1チーム「ミナルディ」を率いたジャンカルロ・ミナルディ氏は「終わったドライバーと決めつけるのはアンフェアだ。『SF-25』は競争力があるとは言い難い」とマシンの戦闘力に言及。「彼にはまだ闘志がある。それがある限り、引退はない」と断言した。

　様々なカテゴリーで活動してきた女性ドライバーのヴィッキー・ピリアは「フェラーリという“自分のために造られていないチーム”に移った影響を甘く見ていたのかも。今、非常に厳しい時期を迎えている」と、絶対的なエース待遇を失った点がハミルトンの状況を難しくしていると分析した。

　さらにチームメイト間の環境の差を指摘したのは​​​​レッドブルの初代ドライバーのひとり、ヴィタントニオ・リウッツィだ。「フェラーリはルクレールに合わせて車を作ってきた。それもハミルトンを苦しめている」と現状を説明。「年齢は懸念材料だが、それでも経験からくる価値は計り知れない」と厳しい状況のなかでもレジェンドならではの戦い方があると示唆した。

　F1で1990年代に40戦出走の他、ル・マンでも６回のクラス優勝を飾ったエマニュエル・ピロ氏も「年齢のせいではなく、精神的な問題が大きい。フェラーリにまだ“快適な居場所”を見つけられていない。しかし成功してきた人ほど、過去に関係なく勝利に渇望している」とハミルトンの苦しい立場に理解を示した。 　そのような事情に加え、ハミルトン自身の能力を疑う声も出ている。ルノーで１勝を挙げたヤルノ・トゥルーリ氏は「年齢のせいか？　車か？　あるいはチーム内の何か？　もしかしたら、限界に達したのかもしれない。予選でもレースでも目立たない。こんなのはハミルトンではない」と失望を隠せないようだ。

　GP２で実績を残したダビデ・ヴァルセッキ氏は「冬の話題を独占した彼（ハミルトン）は、イメージ面ではすでに勝者だったが、レースが始まってからは厳しい現実が……。若手を起用すべきだったかもしれない」と断言。「とはいえ彼を迎えた以上、今は支えるべきだ」とフェラーリによるサポートの重要性を強調した。

　ハミルトンの巻き返しを期待する声も少なくない。レイトンハウスやフェラーリなどで３度表彰台に上がったイヴァン・カペリ氏は「チームを鼓舞する、彼の最大の強みが今は発揮されていない」と現状では本領が発揮されていないと主張。「しかし、このまま終わるとは思えない。まだ貢献できるはず」と復活を予想した。

『Sky Italia』の解説者であるマッテオ・ボッビ氏も「彼（ハミルトン）にはまだ、スピードがある。精神的に解放されれば変わってくる」とポジティブに見通す。そして「何をやっても成功していた頃と違い、今は上手くいかない。彼の中に『以前の自分に戻れるか？』という疑問があるのだろう」と心中を慮った。