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競馬

圧倒的1番人気に推されたオークス馬の不可解な大敗 レース直前で起きた“異変“、波乱を招いた2つの要因【秋華賞】

三好達彦

2025.10.22

 二つ目の要因は、大方の見方に反したペースと展開である。今年の秋華賞は例年と比べても逃げ・先行脚質の出走馬が多かったため、先行争いが激化し、レースはハイペースで進むものと想定する声は多かった。

 しかし実際には、ゲートを出て馬なりでエリカエクスプレスが先頭に立つと、それに競りかける馬はなく、1000mの通過が59秒4というごくごく平均的なミドルペースで進んだ。そのせいもあって先行気勢が強いエリカエクスプレスもしっかり折り合ってレースを進めることができた。また、こちらも馬なりで出たエンブロイダリーは中団を進み、折り合いを付けたうえで、向正面で徐々に位置を押し上げて3番手まで進出。前半をリラックスして走らせたため、距離不安があった彼女に”マイルの競馬をさせる”かたちに持ち込んだわけだ。

 こうなると、春季の牝馬クラシック戦線を戦い抜いた2頭にとって道中の緩い流れは持って来いの展開。直線を向くなりエリカエクスプレスとエンブロイダリーは後続を引き離しての一騎打ちを繰り広げ、差し脚に優るエンブロイダリーが勝利を収めることになった。2頭の力量を貶めるものではないが、展開に恵まれた面もあると考えることもできるのではないだろうか。
 
 三つ目の要因は、旧勢力と新興勢力の、思うより大きかった能力差である。エンブロイダリー、エリカエクスプレスとパラディレーヌまでの上位3頭は春季クラシックで戦った馬たち。そして今回上位人気に加わった新興勢力を見ると、ジョスランが3着と1馬身3/4差の4着という大きな差が付いており、さらにハナ差の5着に入ったセナスタイルも含め、クラシック組とは基本的な走力にかなりの差があったのを如実に表す結果となった。要するに、不可解な敗戦を喫したカムニャックを除けば、新興勢力がクラシック組に仕掛けた下剋上は起こらなかったということである。

 何とも割り切れない感が残る秋華賞ではあったが、これも競馬と、腑に落ちない思いと折り合いを付けるしかないのだろう。

文●三好達彦

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