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競馬

【名馬列伝】記憶にも記録にも残るステイゴールド 海外では無敵、種牡馬として脚光浴びた“小さな暴君“の黄金旅程

三好達彦

2025.09.22

香港ヴァーズを優勝したステイゴールド。写真:産経新聞社

香港ヴァーズを優勝したステイゴールド。写真:産経新聞社

 暴れる、蹴る、立ち上がる、乗り役を振り落とす、噛み付く、逸走する、急に斜行して他馬に体当たり…。400㎏台前半の小柄な馬ながら、思いつく限りの乱暴をやり尽くす気性の悪さは折り紙付き。「小さな暴君」とでも呼びたくなるような存在がステイゴールドである。

 その激しい気性は主に父であるサンデーサイレンスから譲り受けたものだと言われている。サンデーサイレンスは現役時代、厩舎で一番の腕利き攻め馬手を背に調教を行なったが、あまりの気性の悪さに呆れてすぐに降板。伝説的名騎手であるウィリー・シューメーカーも調教に騎乗した際の彼の粗暴さに激怒し、レースへの騎乗を断った。

 米三冠の2レース目、プリークネスステークス(GⅠ)でイージーゴアと競り合った際、ライバルが前に出ようとすると何度も噛み付きにいった(結果は競り勝って優勝)。能力の高さはもちろんだが、サンデーサイレンスの激しい気性は怪物級の強さの原動力であった一方、それは狂気と紙一重の差しかない難物だったのだ。そして、その気性がステイゴールドに色濃く受け継がれていたのは疑いのないところだ。
 
 とにかく、勝てない馬だった。「体は小さいものの、動きのしなやかさは抜群」という牧場時代の評価の高さを考えると、それは不思議なほどだった。初勝利を挙げたのはデビュー半年後、6戦目のこと。次戦の500万下特別を勝ち、4着を挟んで900万下特別で3勝目をゲットしたが、その後は京都新聞杯(GⅡ)が4着、菊花賞(GⅠ)が8着。自己条件に戻って仕切り直すと、そこから何と4連続2着を記録する。

 のちに「シルバーコレクター」との異名を得る馬の面目躍如たる戦績だが、その4つ目の2着は格上挑戦のダイヤモンドステークス(GⅢ)だったのだから、本当にステイゴールドという馬は分からない。ひとつ言えるとすれば、有り余る才能をメンタルな何かが阻害しているのだろうことである。

 とはいえ、5歳となった1998年は実りある年だった。春の天皇賞(GⅠ)でメジロブライトの2着、宝塚記念(GⅠ)でサイレンススズカの2着、秋の天皇賞(GⅠ)がオフサイドトラップの2着、有馬記念がグラスワンダーの3着にそれぞれ入賞。ダイヤモンドステークスで一足飛びにオープン入りしたステイゴールドは1年間を未勝利で終えたものの、GⅠで上位争いを演じられるところまで成長したのである。
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