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『格より調子』に敗れたクリソベル。異変の兆候は確かにあった…

三好達彦

2020.12.07

 調教後の会見でも色よい言葉をつぐんでいた川田将雅騎手はレース後、「今の調子でよくここまで来てくれた。4着に辛抱してくれたのは能力の高さ(ゆえ)でしょう」と、厳しいコメントを残している。まさに『格より調子』という、いにしえの格言がいまも生きていることが再認識されるようなクリソベリルの敗戦だった。

 一方、『調子』よりも『格』の壁に跳ね返されたのが3歳のカフェファラオ。古馬と混じってGⅠを走ったのは初めてのことで、その激しい流れに対応し切れなかったという印象は強いが、それでも最後はじりじりと脚を伸ばしており、さらにキャリアを積めば再ブレイクしてくるであろう逸材だと見る。
 
 最後になったが、初のJRA・GⅠ勝ちを収めたチュウワウィザードは、訪れたチャンスをしっかりモノにするレース巧者ぶりが光った。ここまでの戦績はGⅠ(JpnⅠ)2勝を含む17戦9勝で、4着以下は一度のみという堅実さがストロングポイント。厩舎の管理の賜物でもあろうが、調子の変動が小さい馬で、どんなレースでも最後は必ず伸びてくる。今回はハイペースになるのを見込んで、いつもより後ろめのポジションでレースを進め、直線で出走馬中最速の上がり時計(3ハロン36秒4)を引き出した戸崎圭太騎手の手腕も際立っていた。

 有力馬にとっては、12月29日の東京大賞典(GⅠ、大井・ダート2000m)が目標となる。どのようなメンバーが駒を進めるのか、勢力地図に変動が起こるのかに注目していきたい。

文●三好達彦
 

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