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ゴルフ

「長くて遠回りしたけど…」涙の逆転勝利を飾った岡山絵里。“3年ぶりV”の裏にはコーチの存在があった

山西英希

2021.03.28

「ひたすら30ヤード、50ヤードの距離をゆっくり飛ばす練習をしました。その際、クラブフェースにボールがどのような感じで当たるのかを把握することがテーマでした」

 南コーチの指導方針は、パッティングでもアプローチでもボールに対して真っ直ぐな回転を与えることを重視している。岡山もボールの転がりを第一に考えるようにという指導を受けたという。

 その結果、距離感や方向性が以前よりも確実にアップした。すぐには試合で結果を出せなかったが、4試合目にして遂にイメージどおりのパッティングができるようになり、昨年は1メートルの距離さえ打つのが怖かった岡山が、今大会では3日間の平均パット数が25.33と断トツの1位だったのだ。その象徴が最終18番ホールでのバーディパットだ。
 
「首位に並んでいることは知っていました。ここでバーディを取らなければ勝ちはないなと。バーディを取れば、プレーオフにはいけるだろうと」

 アプローチがピンを2.5メートルオーバーして下りのラインが残った。ゆっくりとストロークすると、真っ直ぐな回転がかかったボールはカップへと消えていった。

 昨年までは物静かなイメージしかなかった岡山が拳を振り下ろすガッツポーズを見せた。聞けば、南コーチの下、6人ぐらいで合宿するうちに、他人と話す機会が増えたことで、人見知りの性格も変わったという。感情を表に出せるようになったことも、自身の殻を破った要因かもしれない。

「2勝目まではすごく長くて遠回りしたけど、優勝できて本当にうれしいです」と笑顔を見せた岡山。ショットメーカーがショートゲームの技術を身につけたのだから、3勝目を挙げるのにそれほど時間はかからないだろう。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
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