専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【天皇賞・春を掘り下げる】ワールドプレミアが見せたGⅠウィナーの貫禄。”本当の底力”が問われるレースで勝敗を分けたのは?

三好達彦

2021.05.03

 そう考えると人気を得られなかったことが不思議にも思えるが、あるいは能力以外の部分での、彼に対するファンの複雑な心理が支持率を押し下げたのかもしれない。

 ともあれ、菊花賞を制した際も、約半年ぶりの実戦となる神戸新聞杯(GⅡ)での3着を経て良化し、タイトル奪取を成し遂げていたワールドプレミア。その過程にならえば、ステップレースを戦ったあとのダメージコントロールをクリアし、ベストフォームを取り戻しさえすれば、やはりGⅠウィナーの底力は一枚上だということだろう。

 また、今回が実戦初騎乗だった福永祐一騎手の、他馬が動いたところでワンテンポ待って追い出すという、落ち着き払ったファインプレーにも唸らされた。

 昨年のクラシック3戦で10→5→4と着順を上げながら戦い抜いたディープボンド、ジャパンカップを含めてGⅠで3度の2着を記録していたカレンブーケドール。末脚の切れでは他馬に劣ると思われた2騎は目論見どおり早めに仕掛けた末、力を出し切っての2、3着だと判じていいだろう。特に初の3000m超への挑戦を最後まで踏ん張り切ったカレンブーケドールの頑張りは称賛に値する。
 
 最後の直線で伸びたものの4着に甘んじた2番人気のアリストテレス(牡4歳/栗東・音無秀孝厩舎)は、クリストフ・ルメール騎手が「少し距離が長かったのかもしれない」とコメントしているが、しかし菊花賞ではコントレイルをクビ差まで追い詰めているだけに、やや説得力を欠くように感じる。彼の本質が中距離馬なのかステイヤーなのか、解答は秋まで待ちたいと思う。

 筆者が”穴馬”として注目した7番人気のオーソリティ(牡4歳/美浦・木村哲也厩舎)は10着に大敗。最後の直線、ラストスパートに入るべきところで力尽きた様子を見ると、川田将雅騎手の「これが現状の精一杯」という言葉に頷くしかない。夏を越しての飛躍に期待したい。

 27年前、前回の阪神開催で天皇賞・春を制したビワハヤヒデは、その勢いを駆って宝塚記念もぶち抜き、GⅠ連勝を果たした。

 ワールドプレミアの次走については未定だが、もし出走するなら来たる宝塚記念で、また中距離戦が続く秋のGⅠでどのような走りを見せるのか。相手関係もガラリと変わるであろう新たなステージでの戦いが楽しみだ。

文●三好達彦

【動画】ワールドプレミアがレコードタイムで勝利!JRA公式が公開した天皇賞・春のレース動画はこちら
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号