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ゴルフ

雨天中止→変則プレーオフで復活V! “世代代表一騎打ち”を制して涙した古江彩佳の心の葛藤とは?

山西英希

2021.10.18

 19年の『富士通レディース』でアマチュアとして優勝を飾り、ツアープロに転向した古江。その後も順調に結果を出し続けてきたが、いつの間にか自分に対して求めるハードルが高くなっていた。

 ゴルフにはミスがつきものだと頭の中では分かっていながら、そのミスを許せなくなっていたのだ。確かに昨年の終盤3試合を優勝、優勝、2位で終えていただけに、周囲からの期待も大きくなっていたのは事実だ。自分自身に手応えも感じていた。

 ところが、今年の開幕戦からの5試合では予選通過するものの、15位以内には一度も入れず、心の葛藤が常にあったという。

 そんな古江にとって転機となったのが、夏場の海外遠征だ。『アムンディ・エビアン選手権』では単独4位となると、『AIG女子オープン』では20位タイに。これで自分の調子は決して悪いわけではないと思えるようになった。

 さらに帰国後の隔離期間中に自分のゴルフを「思ったとおりのスイングができていないのに上手くいくはずがない」と振り返り、そこからミスをしても仕方がないという考え方に変わっていった。
 
 今大会でもミスをして悔しい思いをした。だが、あえて悔やまないように心がけ、その後のプレーをどうするかに集中した。それが功を奏し、ホステスプロというプレッシャーにも負けず、2日間で12アンダーのハイスコアに繋がった。

 メンタル面で成長したからこそ、最終日に突然、言い渡された3ホールのプレーオフにも動じず、雨という悪コンディションのなかでも常に気持ちを前に向け、自分を信じられた。17番のティショットだけでなく、16番のティショットから18番のパーパットを沈めるまでのすべてのプレーに自信がみなぎっていたのがその証拠だ。持ち味である強気のプレーがようやく戻ってきた。

「残り試合は少ないですが、優勝を目指して自分のプレーを楽しみながらやっていきたいと思います」と笑顔を見せた古江。ツアー5勝がすべて9月以降に挙げたものという“秋女”だが、古江の秋はもうしばらく続きそうだ。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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