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食と体調管理

「1日に10回、20回と体重計に乗ることも」。レジェンド葛西紀明も苦戦する、ジャンプ競技における体重管理

THE DIGEST編集部

2021.12.01

体重コントロールはジャンプ選手にとって生命線。葛西も様々な工夫をしている。写真提供:土屋ホーム

体重コントロールはジャンプ選手にとって生命線。葛西も様々な工夫をしている。写真提供:土屋ホーム

――幼少期、中学時代から様々な記録を残されてきた葛西選手ですが、高校時代は1年生の時から代表チームで活躍されています。練習で大変だったことや、食事面で意識していたことはありますか? 

 当時は国内で大人も合わせた大会で1位を取ったりもしましたが、初めて高校1年で海外遠征に行った時にレベルの違いに打ちのめされて、これじゃダメだと高校2年の時には死に物狂いでトレーニングしました。スキー部のトレーニング以外にも自主トレをして、プロテインを飲んだり、食事もバランスを考えながら腹いっぱい食べて筋肉をつけてというかたちでした。

 明確に栄養に対する意識が変わったのは、社会人になってからです。地崎工業に入社してからすぐに栄養士、調理師をつけて、1日のカロリーをコントロールしていくなかで、次第に自分でも食事の大切さを理解していきました。高校時代は、バランスは考えていても基本は好きなものを食えという感じだったんですが、地崎工業に入ってからは、合宿地には必ず栄養士や調理師がついて、バランスの良い食事を教えてくれました。

――それを私生活にも取り入れていったのですね。では、年齢を重ねていく中で食事への気の付け方は変わっていきましたか?

 多少は変わりましたね。初めから五大栄養素は気にしていましたが、例えば若い頃は肉に脂身がついているものを食べていました。30歳を超えてからは、肉はヒレ肉やささみに代わりましたし、一番摂りにくいと言われているビタミンCもなるべく摂るようにしたり。40歳を超えた今では、同じトレーニングをして同じ食べ物を食べても、前とはやっぱり違います。代謝が悪いのか、なかなか体重も落ちなくて、断食をすることもあります。3日間一切食べずに、水とブラックコーヒーだけで減量するんです。

――体重コントロールは具体的に、どのように調整しているのですか? 

 結婚する前までは試合前の3日間で断食をしていましたが、結婚してからは奥さんにそれではダメだと言われまして、今は大体1か月前からきのこや野菜サラダ生活を始めて、少しずつ落としていく減量に変わりました。ただ、ジャンプは体重制限があるので、最終的に落ちなかったら断食です。

 1998年の長野オリンピックが終わってからルール改正が行なわれて、2000年前後から減量が流行り始め、その流れで私も減量するようになりました。それまでは体重計に乗ったこともそれほどなかったんですが、自分で体重計を買ったら、体重がすごく気になって、1日10回も20回も体重計に乗るようになりました。朝起きて量って、トイレして量って、朝ご飯を食べて量って、というように細かくチェックし、試合会場にも体重計を持って行きましたね。あまり体重が軽いと失格になってしまうので、それに合わせて水を飲んだり、多い場合は汗を出したりして調整していました。

 僕はもともと筋肉の量が多いので、頑張って減らして体重を合わせるタイプなんです。選手の中にはもともと体重が少なくて、水を飲んで増やさなければいけないタイプもいます。そういう選手は朝昼晩しっかり食べているんですが、僕はそれを目の前でじーっと「おいしそうだな」と思いながら見ているしかない。めちゃめちゃきついですよ。

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