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食と体調管理

「1日に10回、20回と体重計に乗ることも」。レジェンド葛西紀明も苦戦する、ジャンプ競技における体重管理

THE DIGEST編集部

2021.12.01

地元で開催されるかもしれない2030年のオリンピックに「出場したい」と葛西は笑った。写真提供:土屋ホーム

地元で開催されるかもしれない2030年のオリンピックに「出場したい」と葛西は笑った。写真提供:土屋ホーム

――ここ2年間程度は、新型コロナの影響で満足に大会やトレーニングができなかったと思いますが、そのあたりの苦労は感じていますか?

 どの競技もそうなので仕方ないという気持ちと、あとはいかに頭を切り替えるかというところですね。僕は自宅にトレーニングルームがあるし、小さい頃からやっているマラソンを今もかかさず続けています。マラソンをして汗をかいて、自宅のトレーニングルームを使うという流れで、コロナのなかでも自宅でできるからよかったとプラスに考えて取り組んでいます。ただ、ジャンプ業界全体としては、コロナで緊急事態宣言が出た時からトレーニング施設やジムも使えずに、相当トレーニング不足にはなっていたんじゃないかと思います。

――今は選手たちにとって2022年の北京五輪が目標になりますね。東京五輪で刺激を受けた方もいると思います。葛西選手も東京五輪に感じるものはありましたか?

 もちろんです。毎日、何種目も見て、釘付けでした。コロナの影響もあって感動や希望、そういったものが、みんなうずいているんじゃないかと思うんです。僕もオリンピックを見て感動して、自分と照らし合わせたりもしました。映像を観ることによって、その選手がどれだけトレーニングしてきたのもわかるので、すごく刺激も受けました。東京オリンピックがなければ、自分の闘志に火が付かなかったと思います。他の選手もそう思っていると思いますよ。

――これからの目標、目指す姿は?

 近々の目標だと北京に出場して、あわよくばメダルを獲りたいですが、長い目標を挙げるなら……ここまで来たらジャンプをやめたくない、ということですね。僕は北京が終わると50歳、その4年後のイタリアオリンピックは54歳で迎えます。さらに4年後の58歳の時のオリンピックを札幌が招致しているんです。自国と言わず地元ですよ。そのオリンピックが来たらと思うとね。札幌が招致している大会まで、あと10年きっている。なので、そこまで行けるんじゃないか、という気持ちになっているんです。体の衰えも感じていませんし、何だったら後輩に「葛西さんのその体力は何なんですか!」と言われるくらいですから。辞めたくないという気持ちもあるので、還暦ジャンパーまでやろうかと。そういう目標をもってやっていこうと思っています。

――どこかでご自身のような存在を発掘することは?

 たまにジュニアの選手と一緒になる時は、発掘したいなという目で見ていますね。地元の下川中学校にいたんですよ、ひとりすごい子が。本当に素晴らしいジャンプをしていたので、将来が楽しみです!

――競技にかかわらず子どもたちがスポーツに夢を持ってくれる社会はすばらしいですね。

 スポーツは奮い立たせるものがあるし、スポーツをやっていない一般の方まで盛り上がって気持ちが熱くなるのはすごいことだと思う。子どもたちはどんどんチャレンジしてもらいたいです。

――最後に。飛ぶ直前にはどんなことを考えているんですか?

 風来い!しか考えていないですね。向かい風で浮いてくれ、と。

――天候に左右される競技ですからね。

 こんな理不尽な競技はないですよ。勝てばいいですけど、負けたら悔しくてしょうがない。なんだこの競技はと思いますね(笑)。負けたことの方が多いですけど、勝った時のうれしさはたまらないんです。

【プロフィール】
葛西紀明(かさいのりあき)
1972年6月6日生まれ 176センチ/59キロ
チーム土屋スキー部選手兼任監督。北海道出身

小学3年でジャンプに出合い、中学3年のテストジャンパーとして優勝者の記録を上回り話題となる。1994年リレハンメル五輪団体銀メダル、2014年ソチ五輪個人銀メダリスト。スキージャンプ選手としては異例ともいえる30年以上のキャリアと、40歳を超えてなお一線級の成績をマークすることから「レジェンド」と称され、国内外から尊敬を集める。冬季五輪8大会連続最多出場記録、冬季五輪スキージャンプ最年長メダリストなど5つのギネス世界記録をもつ。夢は “還暦ジャンパー”。
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