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マラソン・駅伝

【箱根駅伝】前回王者の駒大はなぜ青学大に完敗?2強対決の明暗を分けたポイントを探る

酒井政人

2022.01.05

 青学大と駒大、明暗をわけたのは“個々の意識”の差にあったような気がしている。

 青学大は前回、主将・神林勇太が出走を予定していた3区で区間14位に沈むと、5区も区間17位と大苦戦。往路で12位と大きく出遅れて、連覇を逃した。しかし、その反省が今季に生かされていた。

「昨年はエース神林が直前の故障によって出走できなかった。その穴埋めができずにチームは崩れました。前回の反省を踏まえて、誰が使われても走れる選手層の厚さを作ることを、1年間の強化策として取り組んできたんです」と原晋監督が言えば、主将・飯田も「今季は1人ひとりが、自分が走って優勝させるんだという気持ちで取り組んできました。何があっても崩れないチームを体現できたと思っています」と胸を張った。

 青学大は10区間すべてを区間8位以内で走破。3区間(7、9、10区)で区間賞を奪っている。
 
 一方の駒大は3年生主将・田澤と日本選手権10000mで3位に入った鈴木のWエースに頼っていた。鈴木を欠いた出雲駅伝は5位と惨敗。全日本大学駅伝は7区田澤で大逆転しての優勝だった。

 箱根駅伝も10000mで27分41秒68(日本人学生歴代3位)を持つ鈴木が万全な状態で4区に入ることができれば、違った展開になっていただろう。しかし、鈴木は不安を抱えた状態で8区にまわり、撃沈。鈴木を起用できなかった往路の穴も他の選手でカバーすることができなかった。

 またエース田澤は2区で区間歴代4位の1時間6分13秒で区間賞を獲得したが、往路では1区の中大・吉居大和(2年)が伝説の区間記録を26秒更新。3区でも東京国際大・丹所健(3年)が日本人最高記録を28秒も上回った。絶妙な追い風が吹くなど最高のコンディションになったことを考えると、12月4日に10000mで日本人学生最高の27分23秒44を叩き出した田澤の区間記録は少し物足りなさを感じる。1か月前に10000mを快走したダメージが残っていたのかもしれない。

 青学大は今回の大会新Vメンバーが8人残り、さらに同じレベルの選手が数人控えている。来季も間違いなく強い。駒大は来季、1500m、3000m、5000mで高校記録を樹立した佐藤圭汰(洛南高)という超スーパールーキーが入学予定。絶対エース・田澤を軸に青学大へのリターンマッチに挑むことになる。

取材・文●酒井政人

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