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ラグビー

格安だったラグビーW杯の放送権料。一大ブームのなか、もっとも得をしたのは誰だったか

石田英恒

2019.11.09

南アが快勝を収めた決勝戦の視聴率は20%超えを記録。テレビ局にとってラグビーW杯は最高の“コスパ”だった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

南アが快勝を収めた決勝戦の視聴率は20%超えを記録。テレビ局にとってラグビーW杯は最高の“コスパ”だった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 世界的なスポーツ大会、スポーツイベントには、オリンピック、FIFAワールドカップ、テニス4大大会、ゴルフ4大大会、自動車レースの世界3大レース、米国のNHL(スーパーボウル)、MLB(メジャーリーグ)などがある。ラグビー自体も世界的にプレーされている競技なのだが、それらと比較するとワールドカップの放送権料は圧倒的に低いのである。

 ラグビー日本代表はセンセーショナルな勝利を重ね、日本中に一大ブームを巻き起こした。テレビの視聴率は日本戦はもちろん、決勝戦などもハイスコアを記録した。同時期に中継されたスポーツ大会のなかでも格安だったラグビーが、ビジネス的にはもっとも成功したのだ。

 放送権料やスポンサー料は、ラグビーの国際競技連盟である「ワールドラグビー」の収入となる。よって「ワールドラグビー」の利益は十二分に出ているが、日本ラグビーフットボール協会はどうかというと、基本的にチケット収入だけなので儲かったというほどではない。それでも、大会直前の段階でチケット販売は9割に達していて、チケット収入を踏まえた予算は630億円に膨らんでいた。

 
 ラグビーワールドカップは、世界的には、FIFAワールドカップやオリンピックのようなビッグビジネスにはなっていない。まだまだ発展途上のスポーツイベントで、世界的に見ても放送権料は安く、今大会も世界で放送権を購入した国は50か国以下だ。フランスと英国がもっとも高い放送権料を払っていて両国合わせて200~300億円と見られるが、それが全放送権料の多くを占めているという。

「ワールドラグビー」には、ラグビーワールドカップをこれから世界的なビッグビジネスに育てていこうという野心があり、その目的を持って、今回の日本開催が実現させた経緯がある。日本でラグビーブームを巻き起こすことで、アジアにおけるラグビーの人気と知名度を高めるという狙いがあったのだ。今回の日本大会の盛り上がりは、「ワールドラグビー」にとって願ったり叶ったりの状況になったと言える。
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