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襲撃事件、ルール違反、そして薬物使用。米メディアが選定した「五輪史上の大スキャンダル」に15歳ワリエワの名も

THE DIGEST編集部

2022.02.18

 ドーピングのさらに大規模なものは2016年リオデジャネイロ大会前に明らかになった、ロシアの過去4年間にわたる国ぐるみの違反行為であり、世界反ドーピング機構(WADA)が国際五輪員会(IOC)にリオ五輪へのロシア人選手の参加を認めないよう勧告。当時、IOCのトーマス・バッハ会長は「可能な限り厳しい制裁」を約束したが、結局は個人資格での参加を認め、昨夏の東京夏季五輪、今回の北京冬季五輪ではロシア・オリンピック委員会(ROC)として同国を受け入れるなど甘い対処で批判を受けている。

 リオ五輪では、米国の水泳選手ライアン・ロクテ、ジミー・フィーゲン、グンナー・ベンツ、ジャック・コンガーがリオ市内で強盗に遭ったと主張したが、実際は彼らがガソリンスタンドで器物を破損して警備員によって拘束され、これを隠すために虚偽の訴えを行なったことが発覚。ロクテは複数の企業からスポンサー契約を解除された。
 
 その他では、東京五輪前に国際水泳連盟(FINA)がアフロヘアなど黒人らの頭髪に合わせたスイムキャップの使用を許可しなかったこと(後に使用許可に向けて再検討)、米国女子陸上で最速ランナーのひとりといわれたシャケリ・リチャードソンが母の死のつらさを紛らわすために大麻を使用したことで禁止薬物の陽性反応を示して東京行きのメンバーから外されたこと、そして東京五輪では近代五種の馬術でドイツのコーチが馬を殴ったことが原因で、次回パリ大会から馬術が競技から除外されることが挙げられている。

 そして最後は今大会、冒頭でも触れた女子フィギュアスケートの15歳、ワリエワが大会前のドーピング検査で循環を改善して持久力を高める作用を持つトリメタジジンが検出されたにもかかわらず、出場が認められたことだ。これには、元選手のタラ・リピンスキーらが反発し、前述のリチャードソンは自身に対する処分との違いの理由を、人種の違いに求めた。

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は「出場を妨げることは彼女に取り返しのつかない害をもたらす」と競技を行なうことを認めた理由を挙げているが、結果的に全てを背負い込む形で大会に臨み、歓迎されない空気の中でリンクに立つことを15歳の少女に強いたことが、彼女のキャリアや人生に果たして好影響を及ぼすことになったのだろうか……。

構成●THE DIGEST編集部

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