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バレーボール

がん闘病中の東レ・藤井直伸へ、バレー界に広がる“心の支援“の輪

北野正樹

2022.03.06

試合後、パナソニックから千羽鶴が贈られた(受け取ったのは李博)写真:北野正樹

試合後、パナソニックから千羽鶴が贈られた(受け取ったのは李博)写真:北野正樹

 アタックで33得点をたたき出したパダルは「検査入院の前に会った。聞いた時にはショックだったが、ポジティブなエネルギーを彼に送ることがいいと考えている」と話した。

 東レは、藤井が闘病中もキャプテンは替えない。その間の事情を篠田歩監督は「藤井が『戦う』といってくれたことを信じる。本人が主将を続けるといい、『オレもしっかり待っている』と答えた」と明かした。

 試合後には、コート上でパナソニックから東レに千羽鶴が贈られた。清水邦広によれば、病気を知った翌日の28日から折り始め、練習前や自宅に持ち帰り家族で折った選手もいたという。「病気を公表することは勇気がいること。応援するしかないので、(パナソニック)パンサーズのスタッフや家族で作ることにした」といい、ティリ・ロラン監督も「教えてもらったが難しく、ユーチューブを見ながら作った」という。
 
 同じセッターで「ライバルでありよき仲間」という深津英臣は「本当にいい意味でバカになってくれる明るい男。アイツなら奇跡を起こしてくれると信じている」と、回復を祈った。

 同期入団の3人が始めた募金活動。仲間のために動きたいという純粋な思いだったが、医療方針などが明確に定まらない中で「海外での治療等すべての治療法の中から本人が望む治療法を全て叶えてあげたいという一心」(「今回の募金活動についてのご報告」から引用)で5000万円の募金を呼びかけたことから批判的な声も上がり、4日間で打ち切らざるを得なかった。

 病気の早期発見や、高度な医療などへの理解を深める問題提起にもなった行動は理解できるものの、結果的に病気で戦っている藤井本人に心労を与えてしまったことは3人の本意ではなかっただけに、残念なことだった。

 そんな中で、会場では形を変えた“支援“の輪が広がっていた。川崎市から応援に訪れた女性ファンは、応援グッズに手書きで「#心はひとつ」と書き込んで応援。また、東レの応援グッズなどを委託販売している「排球堂マーケティング」が独自に製作した「#心はひとつ」と記されたタオルを持つ人も。チームのロゴや選手名などはないもので、「藤井選手はもちろんだが、どの選手も応援してほしい気持ちで3日前に作った。復帰する藤井選手をこのタオルを振って迎えてほしい」と担当者。

 タオルは、パナソニックのファンも手にしており、高橋らは「敵味方、関係なく応援してくれている。いろんな人から愛され、尊敬されている選手として、誇らしく思えた」と感激の面持ちだった。

 問わず語りに、がん経験を明かしたのはティリ監督。パリ時代にがんになったことがあるそうで、「深刻ではなく治療できたが、聞いた時は何をすればいいのかわからなかった。だから、今のフジイさんの気持ちはよくわかる。パナソニックの選手たちが千羽鶴を贈ったことは、誇りに思えた。バレーの世界が応援しているということを示せてよかった」と、心の部分での“支援“の広がりを喜んだ。
 

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