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バレーボール

がん闘病中の東レ・藤井直伸へ、バレー界に広がる“心の支援“の輪

北野正樹

2022.03.06

製作されたタオルを見る観戦者ら。写真:北野正樹

製作されたタオルを見る観戦者ら。写真:北野正樹

 チーム関係者によると、藤井は戦列を離脱後から入院中の現在も、ミーティングにはオンラインで参加したり、選手へLINEでアドバイスを送ったりしているという。

「僕なら自分のことしか考えられないが、藤井はチームが優勝するために、こうしてほしいと言ってくる。誰よりも優勝したいとの思いが強い」と李。篠田監督も「チームから離れてほしくないから、僕も藤井にミーティングに参加してもらいたい。一番、いい薬は勝利」という。
 
 順天堂大1年で実家が東日本大震災で被災し、一時はバレーを断念しようと思ったこともある藤井。関係者の理解と尽力でバレーを継続したことで、古豪の東レに入団することができた。1年目に正セッターの座を掴んだものの、チーム事情もあって入れ替え戦に回るほど低迷。しかし、2年後にはリーグ優勝に導く原動力の一人になった。

「周りに気遣いができ、努力も惜しまない選手。これまで悔しい、苦しい思いをしながら、這い上がってきた。今度も期待しているし、復帰を心待ちしている」と、入団時の監督だった小林敦GM。

 苦難を乗り越えてきた藤井がコートで再び輝く姿を、バレーの仲間が待っている。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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