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マラソン・駅伝

まさに走る芸術!“史上最強ランナー”キプチョゲが東京で魅せた42.195キロの深み【東京マラソン】

生島淳

2022.03.09

レース後、36キロ付近まで共に走ったアモス・キプルト(左)と健闘を称え合ったキプチョゲ(右)。(C)東京マラソン財団

レース後、36キロ付近まで共に走ったアモス・キプルト(左)と健闘を称え合ったキプチョゲ(右)。(C)東京マラソン財団

 オリンピックを3連覇した選手はいない。

 過去に連覇したのは、1960年のローマ、1964年の東京大会を連覇したアベベ・ビキラ(エチオピア)と、1976年のモントリオール、1980年のモスクワと金メダルを獲得したワルデマール・チェルピンスキー(東ドイツ)のふたりだ(チェルピンスキーは、1980年のモスクワ大会で本命が出場しないという幸運があった。日本の瀬古利彦がボイコットによって走らなかった)。

 今のキプチョゲには、このふたりを超えていって欲しい。
 
 レース後、テレビの解説を務めていた大迫傑は「どうすれば、長く活躍できるのかお聞きしたい」という質問に対して、キプチョゲはこう答えた。

「長く走り続けるにはプロフェッショナルであること、このスポーツを愛すること、自分がどこから来たのか、どこに行くのかを自覚して、自分を律して毎日走り、インスピレーションを与えることが必要だ」

 この言葉は詩のように美しいではないか。走る芸術であるキプチョゲからは、人間の深みを感じるのである。

 この深みに到達できるのは、並大抵のことではない。

文●生島淳

【著者プロフィール】
いくしま・じゅん/1967年気仙沼生まれ。海外ではNBAやMLB、国内ではラグビー、駅伝、野球等、幅広くスポーツを追うジャーナリスト。駅伝関係の著書には『監督と大学駅伝』(日刊スポーツ出版社)、『箱根駅伝』『箱根駅伝 新ブランド校の時代』(ともに幻冬舎新書)、『箱根駅伝 勝利の方程式』『箱根駅伝 勝利の名言』 (ともに講談社+α文庫)など多数ある。
 

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