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ダービー勝利の“味”を知るふたりに支えられたドウデュースが大舞台を制す!イクイノックスとの叩き合いも「馬の気配を感じ伸びてくれた」【日本ダービー】

三好達彦

2022.05.31

 またレース前から、皐月賞でいちばん強い競馬をしたのはドウデュースだと自信を見せていた友道調教師は、
「勝ててホッとしました。きょうは朝から暑かったですが、装鞍所でもパドックでも1頭だけすごく落ち着いていて、いい感じだなと感じていました。5月という遅生まれなのに、こんなにメンタルが安定した馬は珍しい。力を出し切れた強い競馬だったと思います」
 と、晴れ晴れとした表情で語った。

 また、ドウデュースのオーナーである(株)キーファーズの松島正昭代表が以前から「武豊騎手と凱旋門賞(仏G1)を勝つのが夢」と公言しているのはよく知られるところだが、この勝利を受けて、友道調教師が秋はフランス遠征を敢行する意向を発表した。

 日本ダービーを勝つ“味”を知り尽くしたジョッキーとトレーナーだけが持つ経験値の高さ。また、遅生まれとしては異例な完成度とメンタルの強さを持った優駿。それらが完璧に組み合わさったのが今回の勝利であり、日本競馬の悲願である凱旋門賞制覇の夢にも大いに期待したいと思う。

 2着に敗れたイクイノックスも、早くから“クラシック候補”と評判になった馬らしく“負けて強し”の走りを見せた。体質の弱さから疲労のリカバリーに時間がかかるため、5か月もの間隔をとって出走した皐月賞で2着となり、1か月半という「彼にとっては厳しいローテーション」(木村調教師)で臨んだダービーでも僅差に迫った走りは、あらためて彼のポテンシャルの高さを示すものだったと言えるだろう。
 
 ルメール騎手は、
「直線でドウデュースの外へ出したときは勝てると思いましたが、そこからドウデュースはまた伸びました。18番枠というのも影響したのかも…」
 と枠順の不利を悔やんだが、去り際に日本ダービーの最年長勝利記録を更新した武豊騎手のことをさして「53歳でも強いね」とつぶやき、記者の笑いを誘った。

 3着のアスクビクターモアは、「切れ味勝負では分が悪いと思った」と田辺裕信騎手が語ったように前々で積極的に先行し、最後まで粘ってダノンベルーガを抜かせなかった力は立派というしかない。秋が楽しみな存在となった。

 ダノンベルーガとジオグリフは、最後の追い比べで差を付けられたかたちでの敗戦であり、レコードタイムが記録されるような速い馬場状態か、東京の2400メートルというタフな舞台に、現時点では適応し切れなかったと言うべきか。今後の進路も含めて、秋シーズンにも変わらず注目していく必要があるだろう。

 どの関係者も口にしていたが、やはり大観衆のもとでこそ競馬は輝きを増す。その意味も含めて、今年の日本ダービーは深く記憶に刻まれるものになった。

文●三好達彦

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