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格闘技・プロレス

「世紀の決戦」で爆発した7年分の思い――。那須川天心が口にした武尊との“同じ孤独”「お互い寂しかったんだ」

橋本宗洋

2022.06.21

第1ラウンド終盤にダウンを喫した武尊。プロキャリア42戦目にして、10年ぶりの2敗目だ。(C)THE MATCH 2022

第1ラウンド終盤にダウンを喫した武尊。プロキャリア42戦目にして、10年ぶりの2敗目だ。(C)THE MATCH 2022

 積み重なった思いがあった。7年分の気持ちに“結果”が出た。涙が出ないほうがどうかしている。まして那須川は「負けたら死ぬつもりだった」というほど思い詰めていた。遺書がわりの動画も撮っていた。

 那須川はボクシング転向が決まっている。その時期を遅らせることで、武尊戦が実現した。そうまでして決めた試合に負けたら、ボクシング界に行くことなどできない。そんな思いもあった。

 試合を終えた那須川だが、一睡もできなかったそうだ。キャリアで初めてのことだった。武尊と闘い、勝つというのはそういうことだった。一夜明け会見で明かしたことだ。

「この興奮から醒めたくない。だから僕の中ではまだ6月19日です(笑)」

 また那須川は、武尊への感情について「お互い寂しかったんだと思います」と語っている。団体を、ジャンルを引っ張る存在。守る立場、追われる立場。誰もできないことを成し遂げ、高みに立つと、そこには自分しかいないという孤独さ。同じ感情を共有できる男とは、しかしリングで会うことができない。それが今回ようやく「出会う」ことができたのだ。
 
「武尊選手には本当に感謝しかないです。過去一番ハードな試合で、それは武尊選手という最高の相手がいたからできました。久々に楽しかったです」

 そう語る那須川にとって、武尊はどんな存在なのか。対戦が決まる前には「悟空とベジータ、ナルトとサスケ」と表現していた那須川。一夜明け会見であらためて聞くと、こう答えた。

「悟空とルフィでしたね。交わらない世界の主人公同士でした」

 武尊もまた主人公。闘ったからこそ言える言葉だった。武尊と闘い、勝って、これで笑顔でキックボクシングを終えられる。ボクシングに行ける。

「寂しい気持ちはありますけど、最高の形でキックボクシングを終えられます。これが僕の第1章の終わりです。第2章もワクワクするものにしたいし、ファンの人たちもワクワクさせたい」

 笑顔で終えたキックボクシングの戦績は42戦全勝28KO。記録にも記憶にも残る闘いの数々だった。

取材・文●橋本宗洋

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