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【名馬列伝】坂路で鍛え上げられた“逃げ馬”ミホノブルボン。デビュー戦は致命的な出遅れも10頭以上を一気に――[前編]

三好達彦

2022.07.02

 続いて臨んだのは初の重賞、なおかつGⅠ戦となる朝日杯3歳ステークス(中山・芝1600m/現名称「朝日杯フューチュリティステークス」)となった前走の圧倒的な勝ちっぷりから単勝オッズ1.5倍の圧倒的な1番人気に推された。しかし一気に相手が強化されたここでは、前2戦のようにラクなレースはできなかった。
 

 2番手追走から抜け出したミホノブルボンだが、それをマークするように進んだヤマニンミラクルに激しく迫られ、馬体を併せるようなかたちでゴール。写真判定に持ち込まれたが、ミホノブルボンがハナ差で勝利を収めていた。彼が見せた、ヤマニンミラクルに抜かせないという”根性”が引き寄せた勝利だったが、彼のスピードに絶対的な自信を持っていた戸山は、行く気を抑えて2番手を進んだ小島騎手に怒りを表したというエピソードもある。

 ともあれ、3戦3勝のGⅠウィナーとなったミホノブルボンはJRA賞最優秀2歳馬に選出され、翌年のクラシック戦線へ堂々と乗り込んでいく。

 翌92年のクラシックを迎えるにあたって、ミホノブルボンはある論争の種となった。それは”距離延長への対応力”である。

 父マグニテュードはアイルランドから輸入された種牡馬だが、日本で送り出した産駒の多くは短距離を活躍の場としていた。

 それに加えて、ミホノブルボン自身がデビューの1000m戦をレコード勝ちしていることや、1600mの朝日杯が僅差での勝利だったことから、スタミナよりスピードが優った短距離向きのタイプだと見られたことによる。

 戸山も距離延長に対する不安を隠そうとはしなかったが、一方で坂路を4本、ときには5本も駆け上がらせる厳しいトレーニングを課せば克服できるものだと考えてもいた。
<※後編に続く>

文●三好達彦
【名馬列伝】「長い距離は持たない」と言われたキタサンブラックが見せつけた意地と底力<後編>

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