３つ目はショートゲームだ。ロングヒッターの場合、とかくショートゲームが苦手なように思われがちだが、馬場にはその考えは当てはまらない。アイアンショットでピンをデッドに狙う分、グリーンを外すと難しいアプローチが残るが、『全米女子アマゴルフ選手権』では素晴らしいリカバリーショットを何度も見せていた。今大会でもミラクルなアプローチを見せてくれるのではないか。ただ、パッティングに関しては今季出場した国内女子ツアー２試合でマークした平均パット数がそれほどよくない。31・00と29・75と順位的には下から数えたほうが早いぐらいだった。逆の意味で当時よりもどれだけ成長したのか見届けたいところではある。
  　そして、最後に注目したいのはメンタルの強さだ。普通の17歳ならトーナメントに出たら多少は緊張するものだが、馬場にはそのプレッシャーはほぼない。「ヤマハレディースで初めて多くのギャラリーの前で打ったときに、人に見られて打つのってすごく楽しいなって思ったんです。自分がテレビで見てるプロの中でプレーするのもすごく楽しいし、憧れているプロの皆さんに挑戦できるのも楽しいです」と馬場。今回はかなりのギャラリーが馬場の組を追いかけることが予想されるが、それすらも楽しむつもりでいるようだ。

　さらに、馬場には勝負強さもある。出場した国内女子ツアー２試合ではしっかりと予選を通過し、『全米女子オープン』の国内予選も、本戦の予選も通過している。プロと同じ土俵に上がっても自分の実力を出し切れるのが馬場の強さだろう。今週は自身にとって国内外合わせて４試合目のトーナメント出場となるが、２週後には日本女子オープンも控えている。そこに向けての自分の現在地を知る意味でもいい機会となるはず。調子自体は悪くないというだけに、どのような戦いぶりを見せてくれるのか楽しみな４日間になるのではないか。

文●山西英希

著者プロフィール／平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、07年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
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