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格闘技・プロレス

瞬間的に意識も飛んだ激闘の舞台裏。“最強の男”堀口恭司が金太郎戦で魅せた世界水準「格闘技は面白い」【RIZIN】

橋本宗洋

2022.09.27

金太郎の出方を見て、見事に立て直した堀口。しかし、セカンドのブラウンコーチらは厳しい視線を向けられていた。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

金太郎の出方を見て、見事に立て直した堀口。しかし、セカンドのブラウンコーチらは厳しい視線を向けられていた。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 一方の堀口はインタビュースペースでも上機嫌だった。セコンドのマイク・ブラウンに「何やってんだ! タックルにいけ!」と怒られたという話を笑いながら披露する一幕もあったほどだ。

 試合が始まって「打撃でいこうと思って」という堀口。しかし、打撃が得意な金太郎に対しては、グラウンドを狙うのが最初からの作戦。目まぐるしい攻防戦のなかで彼はそれを冷静に遂行したわけだ。

 盛り上がる試合展開であり、なおかつ結果も一本勝ち。ただ、本人は、これをもって“復活”とは考えていない。そもそも世界的な舞台で喫した連敗の捉え方が、我々とは違う。

「一戦一戦、気持ちを入れてやってるので。連敗だからとかは意識してなかったです。でも勝てて嬉しいですね」
 
 それぞれの試合に勝ちと負けがある。勝ち続けていようが負け続けていようが、目の前の試合に全力で臨むのが当然のこと。堀口はそうやって日本でもアメリカでも活躍してきた。勝てば次に向かうだけだ。

 大会前のインタビューで、堀口はフライ級転向を示唆していた。UFC時代は闘っていた階級だ。

 もっとも、バンタム級では減量が4kgほど。ゆえにフライ級のほうが彼にとっては適正だと言える。「海外でやり返したい」という気持ちもあるという堀口は、Bellatorでベルトを取り、そしてその先にはUFC王座を見据えているという。そんな言葉からも、あらためて堀口恭司が世界的ファイターであると実感できた。

 仮に堀口がフライ級に落とすのであれば、ベラトールがフライ級(王座)を作るきっかけにもつながるというのはRIZIN榊原信行CEO。日本でもフライ級でということになれば、RIZINのマッチメイクも大きく変わってくる。

 現在、日本フライ級は選手層が厚くなっており、RIZINと関係の深いDEEPではフライ級GPが開催中だ。そこに堀口が参入すれば、対外国人だけでなく、いずれはフレッシュな日本人対決が見られるかもしれない。対戦を狙って階級を落とす選手もいるだろう。

 これからさまざまな展開や可能性が考えられる。階級を変えるだけで、周囲の“風景”をも変えてしまう。堀口という男の存在の大きさを見た。

取材・文●橋本宗洋
 
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