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【エリザベス女王杯】”苦心”を覚悟した斉藤調教師。超良血娘ジェラルディーナの才能を信じ『三位一体』で掴んだGⅠ初制覇

三好達彦

2022.11.15

 結果を見ると、1着から5着までの馬番は18→13→15→14→11と、すべて2桁番号の外枠に入った馬たち。降り続けた雨の影響によって極端なトラックバイアスが出現していたことが明らかになった。

 ジェラルディーナは、父が16年天皇賞(秋)などGⅠ6勝を記録したモーリス、母が2013・14年ジャパンカップ連覇などGⅠ7勝を挙げたジェンティルドンナ(父ディープインパクト)という超良血。誕生の際には「13冠ベビー」と表現されるほどだった。

 ただし彼女は、能力の高さを感じさせるものの、その反面で気性面の難しさもあって初勝利が3戦目になるなど順調に出世コースに乗ることができず、クラシック戦線には加われなかった。

 母のジェンティルドンナを管理した石坂正調教師(栗東)が定年で引退を迎えたのちは、有馬記念など4つのGⅠを制したクロノジェネシスで知られる斉藤崇史調教師のもとへ転厩。その初戦となった城崎特別(3歳上1勝クラス)では折り合いを欠いて逸走し、勝ち馬から3秒5差で敗れるなど、斉藤調教師はその後の苦心を覚悟したという。
 それでも厩舎、育成牧場、ジョッキーの三者が一体となって主に彼女のメンタルの成長をサポートしたことが実を結び、マカオジョッキークラブトロフィー(3歳上1勝クラス)から3連勝を記録してオープン入り。以後は重賞戦線で好レースを続け、今年9月のオールカマー(GⅡ、中山・芝2200m)でデアリングタクトや牡馬の一線級を抑えて重賞初勝利を達成した。

 その勢いを駆って臨んだエリザベス女王杯でのGⅠ戴冠は、まさに「良血開花」と表現すべき鮮やかな勝利だった。体重もデビュー当時の440㎏から470㎏へと成長。心身とも大人になったジェラルディーナに斉藤調教師は、「これからが楽しみ」と期待に胸を膨らませていた。
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